アニメ事業のさらなる成長に向けたグローバル戦略の一手 ──北米最大級アニメイベント「Anime Expo」への継続的出展を通じてIPのLTV最大化を目指す
年々盛り上がりと存在感を増す「Anime Expo」
1991年に「Anime Con」として誕生した「Anime Expo」は、日本のアニメやポップカルチャーに特化した北米最大規模のコンベンションです。34回目となった今年2025年は、7月3日から6日までの4日間、ロサンゼルスのLos Angeles Convention Centerで開催されました。世界的なアニメ人気によって「Anime Expo」の来場者数は増加傾向にあり、今年は過去最多となる41万人を動員。大盛況のうちに閉幕しました。
KADOKAWAは、2017年に初めてブースを出展。当時の来場者は、グッズや同人販売のために集うコアなアニメファンが目立ちました。しかし、コロナ禍を経て動画配信サービスが普及するにつれてアニメ人気に火がつくと、あらゆるファン層が熱量を持って集まるようになり、イベントとして一段とパワーアップしました。現在では展示会場での”体験”を目的として来場する人も増え、楽しみ方の幅が広がっています。企業ブースの出展も増加しており、アニメメーカーや出版社、グッズメーカーに加えて動画配信サービスなどの新たなプレイヤーの出展も目立つようになっています。
「Anime Expo 2025」会場の様子
KADOKAWAのアニメ事業における海外売上は、世界的なアニメ人気を追い風に力強く成長しています。IPのLTV(Life Time Value)を最大化するKADOKAWAグループの基本戦略において、アニメはIPの収益規模を大きく拡大させる起爆剤です。
アニメを起点とした全方位的なグローバル・メディアミックスを推進し、さらなる成長を目指すため、近年は海外イベントへの出展を含むプロモーションにも注力しています。特に、現地のライセンシーとの密接な連携や、ファンとの直接的な交流は不可欠です。北米最大級のアニメイベント「Anime Expo」は、こうしたビジネス(B to B)とファンとの交流(B to C)の両面において、非常に重要な役割をになっています。
そして今年2025年も、KADOKAWAグループは「Anime Expo」に出展し、北米アニメ市場の熱気を肌で感じ取りました。
本記事では熱気あふれる現地の様子を、一部ご紹介します。
話題作『光が死んだ夏』の大型壁面展示も!多彩なラインナップで注目を集めたKADOKAWAブース
北米事業における中間持株会社のKADOKAWA World EntertainmentとKADOKAWAが共同出展した今年のブースでは、『Re:ゼロから始める異世界生活』、『【推しの子】』、『オーバーロード』、『ダンジョン飯』、『文豪ストレイドッグス』、『光が死んだ夏』、『New PANTY & STOCKING with GARTERBEL』など、主力IPと2025年夏放映の注力作を中心にビジュアルを多数展示しました。特に放映を直前に控えていた『光が死んだ夏』では、漫画とアニメ両方のビジュアルを使った壁面展示が注目を集め、多くのファンや来場者が写真に収めていました。
『光が死んだ夏』の壁面展示
海外でもコアな人気を誇る『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』の展示ブースでは、双子姉妹で活動する人気コスプレイヤーの雪野ななさん・るなさんをゲストに招いた撮影会を実施。会期4日間で計15回にわたって行われ、のべ1,200人を超えるファンが参加する盛況ぶりとなりました。参加者には、アニメの配信情報が記載されたキャラクタートレーディングカードのプレゼントも。
グッズ購入に並ぶ来場者たち
会場では、フィギュア、Tシャツ、複製原画など多彩なグッズがずらりと並び、ブース前には長い列ができるほどの大盛況。KADOKAWA公式オンラインショップ「カドスト」でも会場販売商品の一部を予約販売し、海外拠点との連携のもとアメリカ以外の国々でも各ECで受注販売を展開しました。
また、KADOKAWAグループ会社「GeeXPlus」に所属するインフルエンサーたちが、事前にYouTube動画やSNSでブースやグッズ情報を発信。ファン目線のレポートで、多くのアニメファンの来場を後押ししました。
『異世界サムライ』『誰が勇者を殺したか』など
北米エリアのグループ会社が展開する注目作品のパネルが並ぶ
4,000人が熱狂!“パンスト”ワールドプレミア
2025年7月より放送がスタートしたアニメ『New PANTY & STOCKING with GARTERBELT』のワールドプレミアが、「Anime Expo」のメインステージ「Peacock Theater」で開催されました。
本イベントには、約15年ぶりの新作をいち早く観ようと約4,000人のファンが集結。制作陣によるトークセッションでは、制作秘話や作品に込めた想いが熱く語られ、会場は大きな歓声と熱気に包まれました。
主人公声優・石川界人さんが登場!『盾の勇者の成り上がり Season 4』パネルイベント
海外でも人気が高い『盾の勇者の成り上がり』シリーズの最新作『盾の勇者の成り上がり Season 4』の先行上映とトークセッションが行われました。ステージには、主人公・岩谷尚文役の声優 石川界人さんとプロデューサーの木村天さんが登壇。会場に駆けつけた約1,000人のファンが、大きな歓声で二人を迎えました。
サイン入りグッズが当たるトリビアクイズコーナーでは、来場者のほとんどが手を挙げるほどの盛り上がりを見せ、作品への深い愛が会場全体にあふれました。
2025年夏アニメ注目作品『光が死んだ夏』イベント
アニメ放送を控えていた『光が死んだ夏』のトークセッションには、原作コミックの作者・モクモクれん先生が登壇しました。原作ファンとみられる若い女性も多く、観客はモクモクれん先生の言葉にうなずきながら真剣に耳を傾け、会場には静かな熱気が広がりました。
同日には、TVアニメ『光が死んだ夏』のワールドプレミアも開催されました。1,800席の会場には、アニメ化を心待ちにしていた大勢のファンが長蛇の列を作り、満員御礼の大盛況に。
第1話の上映とあわせて、モクモクれん先生、小林千晃さん(主人公・辻中佳紀 役)、プロデューサーの倉兼千晶さん(KADOKAWA)と椛嶋麻菜美さん(サイバーエージェント)によるトークセッションも行われ、制作の裏側やこだわりに来場者が熱心に聞き入りました。
ドジャー・スタジアムに『オーバーロード』が登場!
近年盛り上がりを見せるMLBと日本アニメのコラボレーション。その流れの中で、「Anime Expo」最終日の7月6日には、ロサンゼルス・ドジャースの本拠地「ドジャー・スタジアム」で『オーバーロード』のPV映像が大型サイネージに映し出されました。さらに、ドジャース公式グッズ売場の隣には展示ブースも設けられ、多くの来場者が足を止めるなど、会場は賑わいを見せ、アニメ人気がスポーツシーンにまで浸透していることを象徴するコラボレーションとなりました。
「Anime Expo 2025」は、KADOKAWAグループにとって、北米市場における日本アニメの熱狂と可能性を改めて実感する機会となりました。そして、ファンとの直接的な交流を通じて、作品の魅力をリアルに届けられる場としての重要性を再確認しました。
今後も海外のライセンシーとの連携をさらに強化しながら、世界中のファンへ多彩な作品を届け、アニメメーカーとしてのKADOKAWAのプレゼンスを一層高めてまいります。今後の展開にもどうぞご期待ください。
※本記事は、2025年11月時点の情報を基に作成しています