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海外インフルエンサーの情熱がアニメを創る。GeeXPlusが描くクリエイターエコノミーの発展

2025.12.22

日本のコンテンツが世界中で熱狂的な人気を集める中、その魅力をさらに広げ、次世代のクリエイターを支援する新たな動きがKADOKAWAグループから生まれています。KADOKAWAグループのGeeXPlus(ギークスプラス)は、日本のアニメ・ゲーム・マンガ分野の情報を海外に発信するインフルエンサーが所属するマネジメント会社で、これまで国内外のコンテンツ市場をつなぐ架け橋としての役割を担ってきました。

2025年7月、インフルエンサー主導のアニメ製作事業「GeeXProductions」を始動。チーフオフィサー兼エグゼクティブプロデューサーのRick Gaoさん、企画プロデューサーの中道 理仁さんに、事業立ち上げの背景や今後の展望について伺いました。

日本のコンテンツを世界へ。GeeXPlusの立ち上げと独自戦略

──GeeXPlus設立の背景を教えてください。

中道さん:GeeXPlusは、アニメ・ゲーム・マンガなどの日本コンテンツを主に英語圏に向けて発信する、YouTuberやインフルエンサーなどのクリエイターが所属するマネジメント会社です。

Rickさん:海外で活動するクリエイターに向けたサポート体制やネットワークを拡張していくための第一歩として、2019年に設立されたのがGeeXPlusです。

2025年4月からは、それまで所属条件としていた「日本への移住」を撤廃し、海外在住のままでも活動できる柔軟な体制へ移行したことにより、所属クリエイター数も半年で20名から40名に倍増するなど、順調に成長を続けています。


Rick Gaoさん

GeeXPlus チーフオフィサー兼エグゼクティブプロデューサー Rick Gaoさん

── 新規事業「GeeXProductions」を立ち上げたのは、どのような背景があったのでしょうか?

Rickさん:プロジェクトを始める出発点になったのは、創業当時から専属契約を結んでいた海外アニメファンに大きな影響力をもつインフルエンサーであるGigguk(ギガク)さんが長年抱いていた「自らアニメを製作したい」という夢でした。当初、彼は自費で資金を捻出してタイの文化や歴史、美術的な要素を取り入れながら、日本を“異世界”として捉えたオリジナルアニメ企画『bâan-大人の彊界-』の構想を進めていました。

GeeXPlusとして彼の挑戦を応援したいと思い、サポートを開始しました。当初は人的サポートと投資という形で支援を始めましたが、製作と企画が進むにつれて、「インフルエンサー」と呼ばれてきた人々が、いまや本格的な「クリエイター」へと進化していることに気づいたのです。

4.5億人以上のYouTube登録者数を抱えるトップクリエイターのMrBeast(ミスタービースト)さんが時価総額50億ドルを超える企業を経営しているように、彼らの活動は単なる広告収益に留まりません。私たちは、一人ひとりをもはや「インフルエンサー」ではなく、「クリエイター」であり「メディアカンパニー」と捉える必要があると考えました。Giggukさんも同様に自らファン層を構築し「クリエイター」としての創造力と実行力、そして何よりも夢を持っています。

私たちは、Giggukさんのような若者が本格的にアニメクリエイターとして活躍できる段階にきていると確信しました。そこでKADOKAWAグループのIP創出力強化とグローバル戦略も相まって、クリエイターのマネジメントに留まらず、IPの創出・製作のサポートをしていく目的で「GeeXProductions」を立ち上げました。


中道 理仁さん

GeeXPlus 企画プロデューサー 中道 理仁さん

中道さん:日本アニメを海外のファンに届けていくだけでなく、クリエイターを国内外につないでいく仕組みの構築がクリエイターたちの望みであり、私たちが目指す1つのゴールです。

クリエイターの情熱と創造力を、制作現場へ正確に伝える架け橋に

── アニメ製作事業の第一弾では、3名のクリエイターによるコンテンツが発表されています。

Rickさん:先述したGiggukさんに加えて、YouTubeで3Dバトルアニメに特化したコンテンツを制作してきたDillon Goo(ディロン・グー)さん、オリジナルショートアニメに取り組んできたOtaku-Vs(オタクヴィエス)さんの3名を軸にプロジェクトを本格的にローンチする運びとなりました。


YouTubeで公開されたオリジナル短編アニメ『bâan -大人の彊界-』
Giggukさんのチャンネル登録者数は360万人を超える

中道さん:私たちの役割は、海外のクリエイターと日本の制作現場をつなぎ、製作プロセスを包括的にサポートすることです。翻訳や通訳業務といった言語の橋渡しはもちろん、クリエイターの情熱や理想を制作チームへ正確に伝えることが重要です。

また、海外の視点と日本の知見を組み合わせることでどう成功に導いていくかという点にも気を配っています。例えばDillon Gooさんのプロジェクト『Soul Mart』では、日本と海外で好まれるキャラクターの差などをすり合わせながら、「クリエイターの理想とする着地点はどこになるのか」を探っていくアプローチをとっています。また、Otaku-Vsさんの『Otachan! Rabbit Season』では、すでに多くの海外ファンがいるため、マーケティング戦略を共同で設計しています。


Otaku-Vsさんが製作した『Otachan! Rabbit Season』

── まさに編集者と作家のような関係ですね。

中道さん:おっしゃる通りです。作品に対するクリエイターの想いや情熱を汲み取り、それを英語を話せないスタッフにもしっかり伝え、同じ目線を持って作品づくりに臨むよう常に心掛けています。

彼らが人気を集めているのは、動画コンテンツが面白いという以前に、情熱がちゃんと伝わるからだと思っています。その情熱を共有し、彼らの理想とするアニメの輪郭を突き止め、日本の実績あるアニメ産業の知見とすり合わせていくことが、私たちの重要な役割です。


Rickさん 中道さん

Rickさん:インターネット上で活動するクリエイターは、自身でクリエイティブディレクションをすることが多いのですが、テレビシリーズや映画レベルのプロジェクトを本格的に製作する場合は、資金調達や企画の立ち上げ、進行管理、音楽制作など多岐にわたる知識や経験が必要になります。

そのために「GeeXProductions」ではプロジェクトをビジネスとして成り立たせるための包括的な支援を提供しています。

クリエイターエコノミーが生むアニメの新潮流

── 第一弾のアニメはYouTubeで公開されていますね。今後作品はどのように展開されていくのでしょうか?

Rickさん: YouTubeは、パイロット版を通して視聴者層を育むプラットフォームとしての存在感が高まっており、Amazon Primeで配信されている『ハズビン・ホテルへようこそ』や、Netflix独占の『ザ・アメイジング・デジタル・サーカス』など、YouTubeでインディーズアニメとしてパイロット版が公開されたものが、後に英語圏でヒット作品になるという流れが増えています。

中道さん: 日本でも『銀河特急 ミルキー☆サブウェイ』のように、YouTubeでの単話公開を経て、テレビシリーズ化や全国上映につながる事例が出てきています。


Rickさん 中道さん

Rickさん: 私たちも、まずはインディーズアニメとして取り組み、反響次第ではKADOKAWAのアニメ事業局と一緒に中長期的なシリーズ化を目指したいと考えています。

安田現象さんが自主制作アニメとしてYouTubeで公開したショートアニメを元にした劇場アニメ『メイクアガール』をKADOKAWAが製作していたように、ポテンシャルのあるクリエイターのネットワークはグループ全体に活きてくるでしょう。

実際にDillon Gooさんの『Soul Mart』の企画は、アニメ事業局が正式に委員会を組成する最初のケースとなり、すでに連携が始まっています。今後は、インターネット上で活動するクリエイターをクリエイティブディレクターとして、KADOKAWAのネットワークにある作家や漫画家と掛け合わせたプロジェクトの創出や、グッズ開発といった形で相乗効果を生み出していきたいと考えています。


『Soul Mart』

Dillon Gooさんが製作する『Soul Mart』

中道さん: 私たちがアニメ事業局から学びたいのは、営業力と企画力の豊富さ、そして適切なタイミングで作品を届けられるスピード感です。GeeXPlusは、フォロワー数といった「数字」だけで測られがちなクリエイターの魅力を、より本質的に伝えていくノウハウを持っています。この専門領域をアニメ事業局の知見と掛け合わせることで、大規模なファンコミュニティを築きたいと考えています。

世界をリードするクリエイター事務所を目指す

── GeeXProductionsの今後の展望を教えてください。

Rickさん: クリエイターエコノミーは今後も拡大の一途をたどるでしょう。従来のビジネスモデルとは異なる形で、新たな作品が次々と生み出されている一方、こうしたクリエイターたちは資金や専門知識を必要としています。

ベンチャーキャピタルのような視点を持ちながらクリエイターたちの活動のアクセラレーターとなり、これまでにないビジネスモデルを構築できるとしたら、それは非常にエキサイティングなことではないでしょうか。

GeeXPlusとしては、今後もネットワークを広げ、クリエイター事務所としてリーディングカンパニーになっていきたいと考えています。また、アニメだけでなくインディーズゲームやVTuber領域など、様々な可能性を探っていきたいです。

中道さん: 海外の人たちが感じているアニメの魅力と、彼らが生み出すパワーを日本のアニメ業界と繋ぐことで、今までにない作品が生まれることに期待しています。海外と掛け合わせることでしか得られない革新や進歩を見られることが楽しみで仕方がないです。


中道さん Rickさん

3名のクリエイターから自身のアニメ製作についてコメントをいただきました。


Gigguk(Garnt Maneetapho)

Gigguk(Garnt Maneetapho)
アニメを作るのは子供の頃からの夢でしたし、GeeXProductionsと仕事をすることで現実にすることができました。一生に一度でもこのような機会に恵まれたことは幸せですし、この先も更なるクリエイター主導のプロジェクトにつながることを期待しています。

〈プロフィール〉
Gigguk(ギガク、YouTubeチャンネル登録者数360万人)は海外のアニメ系YouTuberのパイオニアで、海外のアニメファンから最もリスペクトされているインフルエンサーの一人です。
真摯に作品と向き合う姿勢や鋭い考察力を活かしたアニメレビュー動画の人気が高く、『ドメスティックな彼女』や『ヴィンランド・サガ』の作者との対談動画も実施しています。
2021年にはNetflixアニメ企画「Netflix x Anime Trending」にプレゼンターとして出演し、2025年には「クランチロール・アニメアワード 2025」にゲスト出演しました。
CDawgVA, The Anime Manと共に立ち上げた「Trashtaste」のポッドキャストが人気を博し、「Trashtaste」として2022年に実施した24時間生配信のチャリティー企画では、2,200万円の寄付金を集め「国境なき医師団」に全額寄付しました。


Dillon Goo

Dillon Goo
Soul Martは搾取や中毒、終わりのないプレッシャーの中で戦い、己の価値を保ち続けようともがく人々に捧げる作品です。舞台はサイバーパンクな近未来、悪魔が世界を裏から支配し、欲求を満たし続けるために人間を働かせている世界。たとえ世界に反対されようとも、抗うことや自分の居場所を見つけて守ることに意義はあると、そんなメッセージを伝えられたら嬉しいです。

〈プロフィール〉
Dillon Goo(ディロン グー、YouTubeチャンネル登録者数137万人)は、3Dアニメーター・3DCGデザイナーです。ワーナー・ブラザース・ディスカバリー傘下にあったアメリカ合衆国のエンターテインメント会社「ルースター・ティース(2024年3月に事業終了)」にて3DCGアニメ『RWBY Volume 3』の戦闘シーンを担当するリード・アニメーターとして所属しアニメーション技術を磨きました。現在は、2000年に米国で設立した「DillonGoo Studios LLC」のアニメーターや技術者たちとチームを組み、独自に開発したアニメーション技術を用いた3Dアニメを多数手がけ、作品は主に公式YouTubeチャンネル「dillongoo」にて公開しています。


Otaku-Vs

Otaku-Vs
私たちは古き良き90年代〜00年代のアニメスタイルを踏襲し、他社とは違ったオリジナルIPを制作しているスタジオです。GeeXProductionと作り上げる作品を通して懐かしさや独特な味を持った雰囲気を届け、独自の文化を作り上げたいです。次のプロジェクトはその時代への私たちなりのラブレターであり、これまで培ってきた自由奔放で挑戦的なアニメーション表現が詰まっています。お楽しみに!

〈プロフィール〉
Otaku-Vs(オタクヴィエス、YouTubeチャンネル登録者数60万人)は、インターネットサブカルと日本の90年代アニメを融合させた作品を作るインディーズアニメクリエイターです。セル画調の可愛らしいアニメーションに英語圏のネタや文脈で語られるカオスなギャグやアクションシーンの組み合わせは唯一無二の映像に仕上がっています。


※本記事は、2025年12月時点の情報を基に作成しています




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