日本とタイの才能が奏でる“愛の歌”──映画『(LOVE SONG)』バンコクで初披露
10月22日、タイ・バンコクにて、日本とタイを代表するスタッフ&キャストが集結した日タイ共同制作のピュアラブストーリー映画『(LOVE SONG)』(10月31日公開)の海外初披露となるバンコクプレミアが開催されました。
本イベントは、映画『(LOVE SONG)』の企画・製作・配給などを担うKADOKAWAとタイのグループ会社であるKADOKAWA AMARINが本格的に連携して実現した初の海外プレミアイベントです。日本とタイ、両国のキャストとスタッフが一堂に会し、アジア発の新たなIP展開を象徴する一夜となりました。
本記事では、本イベントの様子とプロジェクトの実現過程をレポートします。
満席のバンコクの劇場に歓声──日タイの架け橋となるイベントに
プレミア会場となったタイ・バンコクの劇場「メジャー・ラチャヨーティン」は、この夜、まさに“祝祭空間”と化しました。
入口には『(LOVE SONG)』のビジュアルが大きく掲げられ、劇場には花束を抱えたゲストと観客が入り混じり、作品の完成を祝うように笑顔が行き交っていました。
本作のプロデューサーを務めた野副亮子さん(KADOKAWA 映像事業局 映像企画制作部)は「タイのイベントは非常にアットホームで、花束を抱えたセレブリティやインフルエンサー、一般のお客様が混ざり合い、皆で映画の初上映を鑑賞します。さらに映画館側も劇場全体を作品で埋めつくし、『映画完成おめでとう』の気持ちが全体に伝わってきます」と語ります。
劇場ロビーには映画のディスプレイパネルが並び、来場者は記念撮影をしながら自然にSNSへ投稿。上映前からXでは日本国内でトレンド入りし、デジタル空間でも熱気が広がり、タイならではの温かい文化と観客のエネルギーが一体化したプレミアとなりました。
そして、いよいよステージにキャストが登壇すると、会場の熱気は一気に最高潮へ。
W主演の森崎ウィンさんと向井康二さん(Snow Man)をはじめ、
ミーン・ピーラウィット・アッタチットサターポーン(以下、ミーン)さん、
ファースト・チャローンラット・ノープサムローン(以下、ファースト)さん、
ミュージック・プレーワー・スタムポン(以下、ミュージック)さん、
“モイスチャー”の名でも知られる逢見亮太さん、
そしてチャンプ・ウィーラチット・トンジラー(以下、チャンプ)監督が登壇しました。
登壇者左から逢見亮太、チャンプ監督、森崎ウィン、向井康二(Snow Man)、ミーン、ファースト、ミュージック (敬称略)
キャスト・監督が語る“国境を越える絆”
森崎さんはステージに登壇すると、客席を見渡しながら深く一礼し「この瞬間を迎えられて本当に嬉しいです。1年ぶりのバンコクなのに、まるでホームに戻ってきたような気持ちです」と語りました。
映画のワンシーンにもある“再会”が、まさに現実の舞台で再現されたような瞬間。
森崎さんは続けて「この映画を通して出会えた仲間は、国境を越えてもずっと家族のような存在です。作品のテーマでもある“愛”や“つながり”を、今日この場で皆さんと共有できて幸せです」と言葉を重ねると、客席からは大きな拍手と歓声が起こりました。
続いてマイクを握った向井さんは、落ち着いた口調で「この作品に出会えたこと、そして今日この舞台に立てたことを心から嬉しく思っています」と語り始め、続いてタイ語で流暢に「皆さん、今日来てくれて本当にありがとう」と挨拶すると、会場からはどよめきが起こり、拍手が湧き上がりました。
向井さんは「僕は幼い頃からタイの映画やドラマを観て育ちました。タイの文化や人の温かさが大好きで、いつか自分もこの国の作品に出演するのが夢でした。その夢が『(LOVE SONG)』で叶ったんです」と語る場面も。
「この映画で初めて主演を務めることになりましたが、現場ではチャンプ監督や森崎さん、そしてタイのキャストの皆さんにたくさん助けていただきました。今では“家族”のような関係です」と振り返ると、森崎さんと笑顔で視線を交わし、会場からは温かい拍手が広がりました。
チャンプ監督はそんな二人を優しく見つめながらマイクを受け取り「この作品を初めて日本人のキャスト・スタッフと撮ることが決まった時、正直に言うと不安もありました。でも、撮影初日から最終日まで、言葉が通じなくても、目を見れば気持ちは伝わるということを、森崎さんや向井さんから学びました」と語りました。
さらに「文化も言葉も違う二つの国のチームが一緒に映画を作るというのは、簡単なことではありません。でも、『(LOVE SONG)』の撮影現場では、皆が“映画を愛する気持ち”でつながっていました。僕にとってそれが一番の財産です」と続けました。
チャンプ監督は観客に向かって「この作品は、愛にはいろいろな形があるということを伝えたいと思って作りました。上映後、皆さんの心が少しでも温かくなってくれたら嬉しいです」とメッセージを送りました。
タイキャストからも文化を超えた交流のエピソードが次々と披露され、ミーンさんは「初日は文化の違いに緊張もありましたが、及川光博さんのユーモアで一気に雰囲気が和みました」と笑顔でコメント。
ファーストさんは「日本の現場では“時間”を守ること”を大切にしていて、その真摯な姿勢が印象的でした」と語り、ミュージックさんは「日本の脚本は“ノートブック仕様”でカラフル。思わず大事に持ち帰りたくなるほどでした」と制作文化の違いに感動をにじませました。
また、逢見さんは「7年間タイで活動してきましたが、この作品でようやく日本とタイの架け橋になれた気がします」と喜びを語り、向井さんが「その橋、渡りたいね」と微笑むと、客席からは歓声と笑いが起こりました。
満席となった700名規模の劇場は割れんばかりの歓声に包まれ、ステージの様子はKADOKAWA映画公式YouTubeチャンネルでも生配信され、世界中のファンがその瞬間を見届けました。
→ KADOKAWA映画公式YouTubeチャンネル アーカイブ配信はこちら
フォトセッションは、2階席までぎっしりの満員客席をバックに撮影。
「『(LOVE SONG)』最高!」の掛け声が轟き、熱気は最高潮に。
『(LOVE SONG)』制作の舞台裏
本作『(LOVE SONG)』の企画開発は、2023年夏にチャンプ監督と外部制作会社からのオリジナル企画の提案をきっかけに始まりました。
野副プロデューサーは、「監督が過去に手掛けた作品である『2gether』が世界的にヒットしていることは知られていましたが、ボーイズラブ(以下、BL)作品の多くはテレビシリーズが主流でした。だからこそ、劇場映画として成立させることを考えた時に、チャンプ監督が描くラブストーリーにはBLファンのみならず、多くの人々の心を動かす可能性を感じました」と振り返ります。
映画業界ではBL映画の市場規模に関するデータや前例が少なく、挑戦的な試みでもありました。『おっさんずラブ』や『きのう何食べた?』など限られた成功例を参考にしつつ、“タイの風景”という視覚的魅力、そしてコメディや温かさといったエンタメ要素を融合させ、さらに森崎ウィンさん、向井康二さん、及川光博さんという人気キャストの参加が決まったことで、企画が一気に動き出しました。
撮影現場でチャンプ監督(写真中央)と演出の確認をする森崎さん(同左)
「現場は文化や商習慣の違いもあり、撮影準備から仕上げまで困難の連続でしたが、チャンプ監督率いるタイチームの熱意と、日本チームの柔軟な対応力によって、お互いを尊重しながら前進できました」と野副プロデューサーは語ります。
撮影現場でチャンプ監督(写真中央)からギター指導を受ける向井さん(同右)
海外グループ会社KADOKAWA AMARINとの連携がもたらした意義
「タイでの公開とイベント開催は、企画初期の段階から想定していました。事業上の重心は日本に置いていましたが、本編の約9割をタイで撮影し、監督がチャンプであることからも、タイの観客にも親しんでいただけるよう“日本映画に寄せすぎない作り”を意識しました」と野副プロデューサーは語ります。
企画を進める過程で、タイでの配給会社の決定は当初スムーズに進まない局面もありました。そんな中、KADOKAWA AMARINが映画配給事業を本格始動したタイミングと重なり、グループとしての協業が実現に至りました。
「KADOKAWA AMARINが参画してくれたことで、コミュニケーションのスピードが格段に上がりました。現地プロモーションでは、タイのメディア関係者への取材対応からインフルエンサーの招致、SNSプロモーションまで、KADOKAWA AMARINが主導してくれたおかげで、準備段階から非常にスムーズに進行でき、現地で本作が非常に盛り上がり、バンコクプレミアを成功に導きました」と野副プロデューサーは振り返ります。
また、「日本では見られないほど観客が積極的で、上映中にも笑いや歓声が起こる文化を肌で感じました。映画を“観る”というより“共有する”体験なんです」と野副プロデューサーが手応えを感じるほどに、上映後はロビーにファンが詰めかけ、キャストや監督へのサインや写真撮影を求める人であふれました。温かな国民性とデジタル拡散力の両方を持つタイ市場において、今回の成果は非常に大きな意味を持ちます。
KADOKAWA AMARIN設立に携わり、現在、同社Managing Directorを務める岩崎太郎代表は「本作は、KADOKAWA映像事業局とKADOKAWA AMARINが初めて海外向けに本格的な連携を行った共同プロモーション作品です。単なる現地配給ではなく、KADOKAWA映画の海外展開を強化するための“新しい共同プロモーションモデル”を構築する試みでした」と語ります。
同社の持つタイ市場への深い知見とネットワークを活かし、現地スタッフが主体となって推進することで、まさに“KADOKAWAグループの総合力の結晶”と呼べるプロジェクトとなりました。
映画から広がるメディアミックス
『(LOVE SONG)』は、KADOKAWA映像事業局が開発したオリジナルストーリーの映画を起点に、ノベライズ・コミカライズなど、グローバルにおいて複数のメディアへと展開を広げていく予定です。
映画ノベライズ『(LOVE SONG)』
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映画コミカライズ『(LOVE SONG) episode0』
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KADOKAWA AMARIN岩崎代表は「本作を皮切りに、今後も映像作品について海外拠点と連動した共同プロモーションモデルを継続的に展開していきます」と述べており、KADOKAWAグループ内での協働体制は今後さらに深化し、アジア圏のIP共創を目指す動きが加速する見込みです。
野副プロデューサーも「バンコクプレミアで観客の笑いや歓声を直に感じ、国境を越えて物語が共鳴していることを実感しました。SNSでのリアクションも非常に速く、アジア全域への波及が期待できます。映画『(LOVE SONG)』は、KADOKAWAの実写事業におけるグローバル戦略の象徴として、国境を越えた感動と共感を呼び起こす作品となりました。この成功を足がかりに、今後も世界に向けた多様なIP創出と、メディアミックス展開を続けてまいります」と手応えを語ります。
映画から始まった『(LOVE SONG)』は、世界中に響き続けます。映像から出版、音楽へと広がるこの波は、KADOKAWAが描く“アジア発IP戦略”の象徴となり、世界に向けて“愛のメロディ”を奏でていくことでしょう。
【 バンコクプレミア 概要】
日時:10月22日(水) 18:00~18:45 [日本時間:20:00~20:45] ※上映前イベント
場所:メジャー・ラチャヨーティン
登壇者:森崎ウィン、向井康二(Snow Man)、ミーン、ファースト、ミュージック、逢見亮太、チャンプ監督 (敬称略)
【作品概要】
タイトル:『(LOVE SONG)』
制作幹事・配給:KADOKAWA ©2025『(LOVE SONG)』製作委員会
公式サイト:movie-lovesong.jp 公式X&Instagram:@movie_lovesong
公開日:【日本】10月31日(金)/【タイ】11月13日(木)
※本記事は、2025年10月時点の情報を基に作成しています