職種・役職を超えた創造とチャレンジの場「アイデアソン・ハッカソン」に密着
KADOKAWAグループでは、従業員のクリエイティビティを最大限に発揮できる環境づくりに積極的に取り組んでいます。その一環として、モノづくりの場・アイデア発表の場となる社内イベント「アイデアソン・ハッカソン」を、有志社員の運営により継続的に開催しています。
本イベントでは、特定のテーマに対して制限時間内にデモ版を開発するエンジニア向けの「ハッカソン」と、プログラミングを必要とせず事業やサービスの企画書を作成する非エンジニア向けの「アイデアソン」を併催しています。もともと2010年ごろからドワンゴのエンジニア向けイベントとしてスタートし、2022年には「アイデアソン」も同時に開催することで、企画職やデザイナーを含むドワンゴ全社員が参加できるイベントへと拡大。さらに2023年からは、KADOKAWAグループ全体に対象を広げ、現在では年3回程度、リアルとオンラインを組み合わせて開催する定番イベントとなっています。審査員には、KADOKAWAグループの各サービスやメディアの責任者が加わるなど、グループ横断の一大イベントとして定着しています。
本記事では、2025年秋に開催した「アイデアソン・ハッカソン」の様子を紹介します。また、本イベントの運営責任者と審査員を務める、Creative Technology推進室室長・黒田晋哉さんに、社内のイノベーティブなカルチャーの源泉について深く話を聞きました。
今回のテーマは「集合」「キラキラ」! 熱気と緊張感が混ざりあうイベント会場に密着
「アイデアソン・ハッカソン」の参加者たちは、朝から続々と会場の社内セミナールームに集まってきます。オンライン参加者も自宅からパソコンの前にスタンバイ。
今回のテーマは「集合」と「キラキラ」。このいずれか、または両方に関係する事業やサービスのアイデアをカタチにし、「ハッカソン」または「アイデアソン」にエントリーします。参加者たちは思い思いのアイデアを形にするべく、パソコンに向かい、黙々と作業を進めます。
会場に集まった参加者以外に、リモートで参加した社員も
エントリーの締切時間が刻々と迫る中、参加者たちはタスクに集中し、ひたすらキーボードを叩き続けます。時には手を止めて悩む場面もありますが、行き詰まりを感じたときには社内のチャットツールを使い、運営側の技術責任者らに質問することもできます。会場には緊張感が漂っています。
昼休憩をはさみ、午後からはイベント後半戦へ。「アイデアソン」の参加者は小グループでブレスト会を行い、午前中に考案したアイデアを発表し合います。仲間からの意見を踏まえ、不要な要素をそぎ落としたり、新たな視点を加えたりと、企画に磨きをかけていきます。一方、「ハッカソン」参加者はプログラミング作業に没頭し、デモ版の完成に向けて集中力を高めていきます。
アイデアをゼロから作り上げる「アイデアソン・ハッカソン」は時間との勝負
その後、作品のエントリーを経て「アイデアソン」「ハッカソン」双方の予選発表・選考が行われ、いよいよ本選へ。発表会では、熱気あふれるプレゼンが繰り広げられます。一人の発表が終わるごとに、審査員や参加者から活発な意見や質問が飛び交います。審査員からは技術面でのアドバイスや改善提案、事業化を検討する際に着目するべきポイントなど、多角的なコメントが寄せられました。
本イベントは参加者以外も視聴できる環境が整えられているのも特徴で、グループ内向けにニコニコ生放送を活用したオンライン配信を実施しています。視聴者からの応援コメントが画面を盛り上げ、発表者がそれに応える場面ではどっと笑いが起きるなど、オンラインとオフラインが一体となり終始活気にあふれていました。
1日かけて作り上げた企画を全力でプレゼンする発表会で、熱気は最高潮に
最終審査を経て、いよいよ結果発表。「アイデアソン」部門では、ニコニコの視聴者にサービスをより楽しんでもらう機能の発案者に、「ハッカソン」部門では、コーディングなどの一人作業を楽しく効率化するプログラムを作った参加者に、それぞれ優勝が決まりました。優勝者の名前が呼ばれた瞬間、会場には大きな拍手が響き渡り、イベントは盛況のうちに幕を閉じました。
終了後は、参加者と審査員、運営メンバーを交えた懇親会へ。発表作品についてさらに踏み込んだアイデアを語るグループ、惜しくも本選に進めなかった作品の着想について語り合うグループなど、職種や役職を超えた交流が自然と生まれ、貴重な共有の時間となりました。
大切なのは「おもしろいと感じるものは何か」を考えること
本イベントをグループ横断イベントとして拡大させ、運営を指揮するCreative Technology推進室室長の黒田晋哉さんに、当社の「アイデアソン・ハッカソン」の根底にあるカルチャーについて聞きました。
Creative Technology推進室室長・黒田晋哉さん
──KADOKAWAグループの「アイデアソン・ハッカソン」の開催経緯についてお聞かせください。
黒田さん:もともとドワンゴでの「ハッカソン」は、3か月の研修期間を終えた新卒エンジニアと先輩エンジニアが顔合わせという名目で全員集まり、プログラミングの腕を競い合うお祭り的なイベントでした。その後コロナ禍による開催休止期間を経て、復活するとなった際、夏野社長から「この取り組みをグループ全体にも広げてほしい」という要望があり現在の形になりました。
今では年3回ほどの、KADOKAWAグループ全体の季節行事になっています。また、リモートワークの勤務者も増えたため、リアルとネットどちらでも参加できるようにしています。
──本イベントは、新しいことを生み出そうというポジティブな社内カルチャーを体現しているように思いますが、運営するうえで大切にしていることはなんですか?
黒田さん:このイベントは、アイデアの発想力とチャレンジ精神を大事にしています。そのため審査員も、発表作品に対して批評するというよりも、「もっとこういうことも考えられるとおもしろそうだよね」というようにブレインストーミングに近い形で、参加者にアイデアの発散を促すようにしています。
個人やグループで、職種、年齢や肩書きなどにも関係なく参加できる仕組みというのも、大切な価値だと思っています。フラットな場だからこそ生まれるコミュニケーションは、「アイデアソン・ハッカソン」のよさのひとつではないでしょうか。
私たちはエンターテインメント企業の一員です。社内には多種多様な事業があり、アウトプットはそれぞれ違うかもしれません。が、本質的には、その業界の課題を解決するために何ができるか、お客様のニーズはどういうものなのか、おもしろいと感じるものは何なのか、ということで仕事をしている点は同じだと思います。
コンテンツやサービスが好きで入社した人が多いと思うので、「おもしろいと感じるものは何かを考え、人がやらないことをやる」というチャレンジを忘れずにいる場になるよう運営しています。
基本戦略にもある「テクノロジーの活用」の推進力となり、人材開発にもつながっていく
──最近の「アイデアソン・ハッカソン」の様子や傾向について教えてください。
黒田さん:直近の発表内容を見ると、生成AIを使ってコードを書く例が増えています。通常業務ではすぐに組み込むのが難しい場合でも、「ハッカソン」を機会に、最先端のテクノロジーを試してみる、という場になっています。
KADOKAWAグループでは、基本戦略として「グローバル・メディアミックス with Technology」を掲げており、会社としてあらゆることにテクノロジーの活用を進めていくという考えがあります。私が室長を担っているCreative Technology推進室では、その促進をミッションとしています。例えば制作の現場で直面している課題などのヒアリングを行い、テクノロジーの活用によって、クリエイティビティの向上につながる取り組みができないか、業務の効率化や課題解決ができないか、といったことを事業部門の担当者と一緒に進めています。
「アイデアソン・ハッカソン」で発表した作品は、すぐに事業などへ具現化するのは難しいかもしれません。しかしイベントを通して得られた知見や気付きは、参加者にエッセンスとして残ると思うんです。エッセンスを持ち帰った参加者が普段の業務に改めて接するとき、既存事業の改善施策や新しいサービス立案のアプローチに、テクノロジーの力を使おうとする。そんな姿勢が周りの社員にも波及していく。こうした広がりが、クリエイティブ力の向上や、事業成長の原動力になると考えています。
──今後の展望を教えてください。
黒田さん:若手社員のプロジェクトチームとの共催や、新規事業開発部署とのコラボレーションなど、新しいイベントのかたちを計画しています。いろんな連携を模索しながら、このイベントへの参加者を拡大していきたいと考えています。こうした活動が、テクノロジーに対するリテラシーの高い人材開発にもつながるのではないかと思うんです。
※本記事は、2025年12月時点の情報を基に作成しています