ジャンルに
縛られないから、
多様な作家さんと
スクラムを組み、
多彩な作品を
手がけていける。

06 9

TOSHIYASU YAMAMOTO

山本年泰

コミック編集者
コミック第1統括部 コミックビーム編集部
メディア関連会社から転職

PROFILE:新卒で某出版社に入社するも、自分が熱くなれるジャンルのコミックを持たない出版社であったため、志半ばで転職。その後、メディア関連会社勤務などを経て、2020年にKADOKAWAへ。現在、コミックビーム編集部に所属。コミックの他、ゲーム、映画、ドラマ何でも大好きで、最近の悩みは「観たい・読みたいコンテンツが多すぎて、時間が足りない!」こと。

−なぜKADOKAWAへ?−学生時代に志した夢に、再チャレンジ。

「コミック編集者になる」と新卒で入社したのが、とある出版社。狭き門をくぐり抜け念願の編集者になれたのですが……。その出版社は特定ジャンルの漫画をメインに扱う会社。私は、王道とはまた違うコアな世界観を持つ漫画が好きだったのですが(ジャンプも好きですけど)、そうした作品に携わるチャンスはゼロでした。結果、転職を決意。次に選んだのが、メディア関連の会社でした。広告営業でしたが、純粋な営業活動の他、地方自治体のPR企画やイベント運営など様々な仕事を担い、とても充実した日々でした。職場も古き良き日本企業といった雰囲気で、学生時代に志した夢からは離れてしまうというモヤモヤを抱えながらも、安定した幸せな人生をここで送っていくのだろうと感じていました。ところが、事態は急変します。ある日、KADOKAWAのコミックビーム編集部が人材募集していることを発見してしまうのです。
学生時代を含めこれまで夢中になってきたコミックを思い浮かべると、コミックビームから生まれた作品が山ほど。「これは応募するしかない!」とすぐに思いました。そうして私は、コミックビーム編集部へと足を踏み入れたのでした。現在は、雑誌連載中の作家さん8名のほか、数十名の作家さんを担当中。漫画界のレジェンドと言われるような方から、新進気鋭の若手クリエイターまで、様々な作家さんと仕事をさせていただいています。

−仕事の魅力−自由度の高い環境。
自分の意志で仕事を
創っていける。

山本年泰 仕事風景01

この編集部に感じる魅力の一つは、ジャンルに縛られない点。コミックビームは、月刊『コミックビーム』の連載作品だけを扱っているわけでなく、同人誌やSNSなどを通じて創作活動をしている方とタッグを組んで雑誌連載を経ずに直接単行本を生み出していくことにも積極的。だから“コミックビームっぽくない”作品も手がけることができます。様々な作家さんの才能を活かせるフィールドがあるとともに、編集者自身もジャンルに縛られず多様な面白さを追求していける環境だと感じています。ただこれはコミックビームに限らず、多様なジャンルを扱うKADOKAWA全体に言える魅力かもしれませんね。
特にKADOKAWAらしさを感じた仕事は、2022年4月号の付録として制作した『コミックビームアルバ2022 SPRING』。豪華執筆陣による160ページの特大読切冊子ですが、その責任者を担いました。発端は、編集長から数百万円という予算を渡され「なんでも好きに使っていいから、雑誌の販促につながることをやってください」と言われたことでした。つまり当初は、付録かどうかも決まっていなかったのです。自分で企画を立て、コンセプトを決め、責任を持って動かしていく。入社1年も経っていない段階で、そうした仕事を任されたことには興奮しました。結果的に、先輩たちの力も借りて、松本次郎さんや島田虎之介さんをはじめ素晴らしい作家さんたちに作品を寄せていただき、売上も前年号を大きく上回る数字を残すことができました。

−前職/他社との違い−編集者の枠を超えた力を得て、
新しいチャレンジへ。

山本年泰 仕事風景02

いくつかの会社を経験してきた私が感じるのは、KADOKAWAは“いまどき”の会社だということ。特に働き方は、出版業界においては特異だと感じます。フレックスで、テレワークも不自由ない。若手もベテランもデジタルツールを使いこなし、遠隔にありがちなコミュニケーションロスも感じません。これにより処理できるタスク量が格段にあがりますから、やりたいこと・手がけたい作品がたくさんある人にとってはとてもいい場所ですね。
もう一つの違いは、数字に関する目線がシビアな点。コミックビームでは単行本化に際し、紙質や印刷加工手法などに決まりがなく1冊1冊をオーダーメイドしていくのですが、その際の唯一と言ってもいいルールが「決められた損益分岐点を超えてはいけない」です。作家さんや装丁デザイナーさんとともに、各作品に最も適した単行本のあり方を、収益を追求しながら模索していくわけです。新卒で入社した出版社時代は、単行本の仕様が固定だったため、一冊つくるのにいくらかかるかも知らなかった私としては、コミックをビジネスとしてとらえる視点・スキルを磨くことができています。
今後は、編集者としてヒット作を一つでも多く立ち上げていくことはもちろん、KADOKAWAでしかできないことにもチャレンジしたい。新規事業立ち上げなど、編集者という枠に囚われない仕事をしてけたらと思っています。

※記事内容は、取材当時(2022年7月)のものです。

ONE DAY とある1 日の過ごし方

  • 00:00

    ストロングゼロを飲みながら『エルデンリング』に挑む。

  • 03:00

    “マレニア”に勝てなくて就寝。

  • 06:00

    “マレニア”に勝てない夢を見る。

  • 10:00

    起床。メールとSlackをチェック。風呂に入りながら
    「今日やること」を頭の中で整理する。

  • 12:00

    妻と神楽坂で昼食を食べる。

  • 13:00

    出社(週2くらい)。印刷所から出校されてきた
    コミックスの色校をチェック。

  • 15:00

    先輩から担当作を褒められてテンションがあがる。
    (コミックビーム編集部にはいい人しかいません)

  • 16:00

    定例会議。コミックス作業の進捗確認や、売上の共有など。

  • 18:00

    先輩からお菓子をもらってテンションがあがる。
    (コミックビーム編集部にはいい人しかいません)

  • 19:00

    ネームチェックをして作家さんと打ち合わせ(電話)。

  • 21:00

    作家さんに進捗確認の電話。順調だったのでそのまま雑談。

  • 22:00

    業務終了。他社の先輩編集と神楽坂で飲む。

  • 23:00

    帰宅。PS4の電源をつける。多分“マレニア”には勝てない。