意外なほどに穏やかな空気のなかで、のびのび表現していく。
どちらかというと私は、アニメへの愛というより、映像制作そのものの面白さに取り憑かれてこの仕事を選びました。もちろんたくさんのアニメを観て育ってきましたし、漫画なども大好きです。ただそれ以上に、自分で思考し絵作りをして、頭のなかにあるアイデアを形にしていく過程がたまらなく楽しいと感じるのです。映像制作技術を身につけたいと進んだ専門学校では、創ったものに対する評価を得るという魅力も知りました。ミュージックビデオなどを制作してはSNSで公開し、視聴者からのリアクションを楽しみにしていましたね。そうして培った映像表現のスキル。これを最大限に活かせて、なおかつどこまでも知見を深められる道を探したところ、アニメ撮影という仕事を知りました。
数あるアニメスタジオから選んだのがチップチューン。入社してまず驚いたのは、職場の雰囲気でした。穏やかな空気が流れていて、スタッフの皆さん、とてもリラックスしながらのびのびと働いている。話しかけると気さくに応えてくれて、何でも相談しやすい。チップチューンではもともとあたりまえのことだったかもしれませんが、業界に飛び込むまで「誰もがスケジュールに追われていて、職場は少し殺伐としているのでは?」という先入観を持っていた私にとっては意外でした。もちろん納品直前などになると多少の残業をすることはありますが、会社に泊まり込んで作業するような無茶苦茶な働き方も幻想でした。

どんな形の「好き」も受け止めてくれる仕事。
アニメ撮影のやりがいはやはり、最終的な絵作りを担い、作品の完成度に大きく影響を及ぼす役割を背負っている点です。加えて私は、あらゆる「これが好き!」「この作業が楽しい!」を受け止める度量がある仕事だとも感じています。アニメ好きはもちろんのこと、例えばエフェクトが好きな人であればキャラクターの魅力を引き出す方法を探る楽しさなどを感じるでしょうし、新しいもの好きな人であればまだ一般化していない技術や手法を実験的に活用する機会も持てます。どんな「好き」をも思いきりぶつけていけるのが、アニメ撮影なんですよね。
現在、入社4年目。確実に自分のスキルが向上しています。アニメ撮影は、知識の量や引き出しの数が多ければ多いほど、表現の幅も広がっていく仕事。その意味では、学べば学ぶだけ、インプットすればインプットするだけダイレクトに成長を感じることができます。だから、書籍やインターネットを読み漁ったり、様々なアニメ作品を観たりして学ぶ時間もまったく苦ではありません。努力を決して裏切らないのもアニメ撮影という仕事の特徴だと感じます。
KADOKAWAグループ内コラボで実験的な挑戦をしてけたら。

チップチューンは2025年、KADOKAWAグループ入りしました。どんな化学反応が起こるのか、今からとても楽しみです。これまで接点のなかったスタジオとの繋がりが生まれ、何らかのコラボレーションができたら可能性が膨らみそうですし、多くのクリエイターの方々との交流が広がっていくなかで新しいことを試す機会が増えたら面白い。個人的には、撮影的なアプローチでも新しさを感じた『メダリスト』を手がけたENGIさんに、ぜひ制作裏話を聞いてみたいななんて思っています。
将来的には撮影監督を目指したいと考えていますが、まずはより知見を深め、技術を磨き、なんでもできる撮影マンとして社内外からの信頼を得ていきたい。そして自分にしかない強みを出せるようになっていきたいですね。そのためにも、新しいことをどんどん試していきたいし、面白い表現、かっこいい絵づくりを貪欲に吸収していきたいと思っています。