作品の魅力を味わい尽くしながら、自分の将来の可能性を広げていく。
予算、スケジュール、スタッフィング、クオリティ。制作進行は、担当する作品/話数のすべてに責任を持ちます。ときに数十人規模にもなるクリエイターたちとコミュニケーションを重ねながら、より良い作品をスケジュール通りに納品していく。やるべきことは多いですが日々の業務を通じ、物語の世界観や背景、キャラクターの心の動きなど、その作品のことを誰より深く理解し、味わい尽くしていけるのはこの仕事の1つの魅力でもあります。
また、監督、作画監督、演出、アニメーター、撮影など、様々な領域のクリエイターと密にコミュニケーションをとる仕事ですから、学べることが本当に幅広く、そして深い。様々な知見と経験を蓄積できますから、将来の選択肢も増えますね。制作進行やデスクとしての道を極めるもよし、プロデューサーや監督、演出、脚本といった道を志すもよし。制作進行は、未来が膨らむ仕事でもあるんです。

作品だけでなく、より良いアニメ制作現場のあり方も追求していく。
もちろん、大変なこともあります。“いつ何が起こるか分からない”のは、アニメ制作の現場ならでは。イレギュラーな問題にも、迅速かつ柔軟に対応していかなければなりません。また、優秀なアニメーターの力をどれだけ集められるかも制作進行の重要なスキル。作画をどのアニメーターにお願いするかという采配も制作進行が担いますので、自分の仕事が作品のクオリティに直接影響するというプレッシャーもあります。それでも放送時、エンドロールに自分の名前が出たときや、友人や親戚から「見たよ!」と連絡をもらえたときには、すべてが報われるような達成感を得られますし、なんだか誇らしい気持ちにもなります。
加えて、この会社ではトラブルの原因になりがちな非合理的な作業も徐々に減りつつあります。このベルノックスフィルムズは、2024年7月にKADOKAWAグループのアニメスタジオとして始動しました。素晴らしいアニメ作品を生み出すことはもちろんですが、アニメ制作現場の未来をより良いものにしていこうという想いを持って生まれた会社でもあります。経営層も「アニメ制作に携わる人たちの働く環境をより良くしていこう」、「非合理的な悪しき慣習はなくしていこう」と宣言している通り、働く環境や仕事の進め方は一歩ずつですが、進化しています。実際、私は2024年に他社スタジオから転職してきましたが、待遇面や福利厚生、職場環境が大きく変わったのを感じています。
新入社員の声も、このスタジオを育てていくための大切な糧。

とはいえ、2024年に生まれたばかりのスタジオ。すべてが完成したわけではありません。いえ、むしろ始まったばかり。今、社員全員でアイデアや意見を出しながら、会社づくりをしている段階です。例えば、新人も含めて誰でも参加できる定例ミーティング「スタジオのこれからを考える会」を週に1度、開いています。そこでは会社の仕組みや制度、職場環境をどのように整えていくかを皆で話し合ったり、日々の業務における困りごとを出し合って、会社として改善・進化していける点を見つけ出したりしています。社員の声を聞きながら、現場の意見を起点にしながら、新しいアニメスタジオのあり方を今まさに探求しています。
また、仕組みや制度といった大きなことだけでなく、「こういう備品が欲しい」、「こんなツールがあったらいい」といった日々の小さな声も拾い上げてくれる環境もあります。今はまだ少数精鋭の会社だからこそ、一人ひとりの声が届きやすいのでしょう。新入社員の声も重要です。アニメ業界にまだ染まっていない人たちの視点や意見は、慣習や既成概念に囚われていませんから貴重です。アニメ作品だけでなく、会社そのものを作っていくというのは、なかなかない機会。新しい仲間と一緒に、アニメ業界に新風を起こせるようなスタジオをつくっていけたらと思っています。