Ⅰ:経営方針、コーポレート・ガバナンス


1.    経営方針

KADOKAWAグループは、書籍、実写映像、アニメ、ゲーム、およびUGC(User Generated Content)など、多彩なポートフォリオから成るIP(Intellectual Property)を安定的に創出し、それらを世界に広く展開することを中核とする「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進を基本戦略としております。

そして、IPの開発・製造・宣伝・流通・営業などのあらゆる面で「デジタルトランスフォーメーション(=データとデジタル技術を活用し、顧客や社会のニーズを基に製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや企業文化・風土までをも変革すること)」を戦略的に推進することで、経営基盤と収益基盤の強化に努めてまいりました。

KADOKAWAグループが有する、優れた「IP創出力」と「IT技術力」に支えられた多重的なメディア展開力を、デジタルトランスフォーメーション戦略の推進によって更に進化させ、世界有数のメディアパブリッシャーに成長していきます。


2.    コーポレート・ガバナンスの基本的な考え方

当社は、コーポレート・ガバナンスの充実を当社グループが継続的に発展するための必要条件と位置付け、株主に対するより一層の経営の透明性の向上、取引先、得意先をはじめ社会からの信頼の確保を目指し、継続的にコーポレート・ガバナンスの強化に取り組んでおります。
また、経営の健全性及び透明性の確保並びに経営環境の変化に適応できる経営体制を確立し、明確な経営指標や経営方針を公表し、その達成状況をできるだけ早く開示して、経営陣の責任を明確にすることがコーポレート・ガバナンスの充実に資するものと考えております。


3.    コーポレート・ガバナンス体制

3.1 当社の業務執行、監査・監督体制及び採用する理由

当社は、取締役会の経営に対する監督機能の強化、監督と執行の明確な分離による経営の透明性向上及び意思決定の迅速化を目的として、監査等委員会設置会社から、2023年6月22日開催の第9期定時株主総会における承認をもって指名委員会等設置会社に移行いたしました。
取締役会は、原則毎月1回の定期開催と必要に応じた臨時開催により、法令で定められた事項や、経営に関する重要な事項などの意思決定を行うとともに、当社の業務執行状況及び子会社の経営状況を監督しております。現在の構成は、社内取締役の夏野剛、山下直久、村川忍、加瀬典子、川上量生及び周欣寧並びに社外取締役の鵜浦博夫、ジャーマン・ルース マリー、杉山忠昭、笹本裕、芝昭彦、宇澤亜弓及びマクドナルド デービッドの13名(社内6名、社外7名)であり、社外取締役鵜浦博夫が議長を務めております。
取締役は、経営の健全性と透明性を確保するために過半数を社外取締役としております。社外取締役を選任するにあたっては、当社経営の基本方針である「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進及び企業不祥事の発生防止を含めた経営の監督機能強化の両側面より候補者を選出することとしております。
社外取締役は、定期的に社外取締役のみで構成する情報交換会を開催するほか、経営会議への出席等を通じ情報収集に努め、充実した監督体制の整備を図ることとしております。
また、社外取締役のみで構成された指名委員会・報酬委員会・監査委員会において、客観性・透明性の確保に努めております。各委員会の現在の構成員は以下のとおりであります。

(◎は委員長)

氏名 指名委員会 報酬委員会 監査委員会
鵜浦 博夫  
ジャーマン・ルース マリー  
杉山 忠昭  
笹本 裕    
芝 昭彦    
宇澤 亜弓    
マクドナルド デービッド    
<経営会議・その他の委員会>

当社は、代表執行役を中心とした執行役に業務執行の権限を大幅に委譲し、迅速な意思決定を行う体制としております。
執行役全員をもって構成員とする経営会議は、原則毎月1回の定期開催と必要に応じた臨時開催により、経営に関する重要な事項などの意思決定を行うものとしております。経営会議には、必要に応じ社外取締役もオブザーバーとして参加できるものとしており、これにより当社の業務執行の監督の充実化を図っております。
その他、当社は企業統治の透明性をより高めるため、任意の委員会としてリスク管理委員会及びコンプライアンス委員会を設置しております。リスク管理委員会は当社及びグループ会社のリスク管理推進に関する統括機能を担い、コンプライアンス委員会は、当社及びグループ会社のコンプライアンス推進の役割を担っております。

3.2 子会社の業務執行、監査・監督体制

子会社は、原則として取締役会設置会社としております。
当社は、子会社の取締役、監査役の選任(解任)などの株主権の行使と子会社における重要な意思決定についての関与の仕組みを整備しており、日常は、各種の会議体等を通じて子会社の業務執行状況を把握、監督しております。

3.3 コーポレート・ガバナンス体制図



コーポレート・ガバナンス体制図

3.4 責任限定契約の内容の概要

当社と社外取締役は、会社法第427条第1項の規定に基づき同法第423条第1項に定める損害賠償責任を限定する契約を締結し、その限度額は法令に定める最低責任限度額としております。


3.5 役員等賠償責任保険契約の内容の概要等

当社は、会社法第430条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約を保険会社との間で締結しております。
当該保険契約の範囲は、当社及び子会社の取締役、執行役、監査役、執行役員及び監督者としての権限を有する従業員であり、被保険者は保険料を負担しておりません。当該保険契約により、第三者訴訟、株主代表訴訟、会社訴訟等に起因して、被保険者が負担することとなった争訟費用及び損害賠償金等の損害が填補されることになります。ただし、被保険者の職務の執行の適正性が損なわれないようにするため、被保険者による犯罪行為等に起因する損害等については、填補の対象としないこととしております。


3.6 取締役の選任の決議要件

当社は、取締役の選任決議について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の過半数をもって行い、累積投票によらないものとする旨を定款に定めております。


3.7 株主総会決議事項を取締役会で決議できることとした事項及びその理由

  1. 当社は、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号に定める事項については、法令に別段の定めのある場合を除き、株主総会の決議によらず取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。これは、株主への機動的な利益還元を目的とするものであります。
  2. 当社は、取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。これは、株主への機動的な利益還元を目的とするものであります。
  3. 当社は、会社法第426条第1項の規定により、任務を怠ったことによる取締役(取締役であったものを含む)及び執行役(執行役であったものを含む)の損害賠償責任を、法令の限度において取締役会の決議によって免除することができる旨を定款に定めております。これは、取締役及び執行役が、その業務を積極的に遂行できることを目的とするものであります。

3.8 株主総会の特別決議要件を変更した事項及びその理由

当社は、会社法第309条第2項に定める株主総会の特別決議要件について、議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、その議決権の3分の2以上をもって行う旨を定款に定めております。これは、株主総会における特別決議の定足数を緩和することにより、株主総会の円滑な運営を行うことを目的とするものであります。