Ⅱ:取締役会、指名委員会、報酬委員会、監査委員会、会計監査人

4. 取締役会

4.1 役割・責務

取締役会は経営に影響を及ぼす重要事項の意思決定および業務執行の監督を重要な役割とし、その責務を果たしてまいります。
なお、取締役会にて意思決定が必要な事項につきましては、取締役会規則に決議事項として定めております。
当社は、取締役会規則を定め、法令上取締役会決議を要する事項及び、重要性や性質等に鑑み取締役会で決議することが適当と考えられる事項について、取締役会で、判断・決定しております。
さらに、取締役会は職務決裁基準を制定し、業務執行に関わる事項を執行役等に権限を分配することにより、意思決定の迅速化を図っております。
また決裁権限の内容、範囲については、その時々の会社の状況を踏まえて、機動的に基準の見直しを行っております。

4.2 体制

当社の取締役は15名以内とする旨定款に定めており、取締役会の構成については、経営の健全性と透明性を確保するために過半数を社外取締役としております。取締役を選任するにあたっては、当社経営の基本方針である「グローバル・メディアミックス with Technology」の推進及び企業不祥事の発生防止を含めた経営の監督機能強化の両側面より候補者を選出することとし、法令に基づき指名委員会が取締役の選任に関する議案の内容を決定することとしております。また、規模については様々な面から活発な審議を行うために 必要な人数を保持しつつも、過大な規模にならないように指名委員会にて選任議案の内容の決定を行うものとしております。

4.3 取締役の独立性基準

当社では、独立役員の指定に際し、その独立性の基準として、㈱東京証券取引所が定める独立性基準に加えて当社との取引等において金額等の基準を以下のように定めております。

・以下のいずれにも該当しないこと

  1. 当社グループを取引先とし、当社グループに対する売上高が、当該取引先の直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、当該取引先の連結売上高の2%以上となる者、又はその業務執行者
  2. 当社グループの取引先であり、当該取引先に対する売上高が、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において当社連結売上高の2%以上となる者、又はその業務執行者
  3. 当社が多額の借入れ(借入額が直近事業年度末の当社連結総資産額の2%以上)をしている金融機関の業務執行者
  4. 当社から役員報酬以外に多額の金銭その他の財産として、現在及び過去3年間において、個人の場合、受け取っている金額が年間1,000万円以上、法人の場合、過去3年間の平均報酬額が当該法人の総売上の2%以上を得ているコンサルタント、会計専門家又は法律専門家(当該財産を得ている者が法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者をいう)
  5. 当社グループからの寄付の合計額が、直近の3事業年度のいずれかの事業年度において、年間1,000万円又は当該事業年度における寄付を受けた団体の年間総収入の2%のいずれか大きい額を超える団体の業務執行者
  6. 現在及び過去3年間において当社グループの会計監査人であった者(法人であるときは、当社グループの監査業務を担当していた者)
  7. 当社の総議決権の10%以上の議決権を直接又は間接的に保有している者(法人であるときは、その業務執行者)

4.4 能力・選任理由

夏野剛氏は当社の取締役代表執行役社長CEO及び当社子会社である㈱ドワンゴの代表取締役社長に就任しております。2023年3月期においては、当社役職員の不祥事を踏まえ設置したガバナンス検証委員会の調査報告書の内容に基づき、再発防止策策定の中心的な役割を果たし、当社のコーポレート・ガバナンス再構築に向け、強いリーダーシップを発揮いたしました。その他、多くの企業の役員を歴任しており、経営者としての豊富な経験と高い見識を有しております。

山下直久氏は当社の取締役代表執行役に就任しております。2023年3月期においては、当社役職員の不祥事を踏まえ設置したガバナンス検証委員会の調査報告書の内容に基づき、再発防止策策定の中心的な役割を果たし、当社のコーポレート・ガバナンス再構築に向け、強いリーダーシップを発揮いたしました。その他、当社及びその子会社の取締役を歴任し、当社及びその子会社に精通しております。また当社における人事・総務業務の経験と当社及びその子会社の経営における豊富な経験と高い見識を有しております。

村川忍氏は当社の取締役執行役に就任しております。また、営業、マーケティングをはじめとした様々な分野で活躍する他、当社の子会社の取締役を歴任し、当社及びその子会社に精通しております。

加瀬典子氏は当社取締役に就任しております。また、書籍編集、法人営業をはじめとした様々な分野において活躍し、現在は㈱角川アスキー総合研究所の代表取締役社長に就任しております。

川上量生氏は当社取締役に就任しております。また、当社子会社である㈱ドワンゴを設立し、同社の代表取締役を長年務め、現在は同社顧問に就任しております。

周欣寧氏は当社取締役に就任しております。また、当社子会社である㈱KADOKAWA Global Marketing代表取締役社長を務める他、当社の海外グループ会社をはじめとする海外企業での経験を通じて海外事業に精通しております。

鵜浦博夫氏は、当社社外取締役に就任しております。また、日本電信電話㈱において、国内ビジネス競争力・収益力の強化、海外ビジネスの拡大等に取り組むなど最先端分野で活躍する経営トップとして豊富な知見・経験等を有しております。

ジャーマン・ルース マリー氏は、当社社外取締役に就任しております。㈱ジャーマン・インターナショナルを設立し、代表取締役に就任されております。グローバル展開、インバウンド事業及び女性の活躍支援等での豊富な経験と高い見識を経営に活かしていただくことを期待しております。

杉山忠昭氏は、当社社外取締役に就任しております。長年にわたり花王㈱において法務・コンプライアンス部門の責任者を務めるとともに、現在会員数1,300社を超える企業法務の団体である経営法友会において、2011年から2018年まで、代表幹事を務めるなど、法務・コンプライアンス領域における豊富な経験と高い見識を有しております。

笹本裕氏は、当社社外取締役に就任しております。Twitter Japan㈱の代表取締役並びにTwitter,Inc.,JAPAC,の副社長を務め、Twitterの日本及びアジア事業の成長を牽引した他、マイクロソフト㈱常務執行役員として同社オンライン事業の成長に貢献する等、IT・テクノロジー分野をはじめとする様々な分野において経営トップとして豊富な経験と高い見識を有しております。

芝昭彦氏は、当社社外取締役に就任しております。弁護士として法律に関する高い専門性を有し、また、多くの企業において社外役員を歴任しており、法務・ガバナンス分野をはじめとして豊富な経験と高い見識を活かした専門的な観点から取締役の職務執行に関する監督・助言等いただくことを期待しております。

宇澤亜弓氏は、当社社外取締役に就任しております。公認会計士として財務及び会計に関する高い専門性を有し、また、多くの企業において社外役員または第三者委員会委員を歴任しております。財務・会計をはじめとする豊富な経験と高い見識を活かして専門的な観点から取締役の職務執行に関する監督・助言等をいただくことを期待しております。

マクドナルド デービッド氏は、当社社外取締役に就任しております。ディスカバリー・ジャパン㈱の代表取締役社長を務め同社のデジタル化及び新規事業開発等に取り組み、また、グーグル合同会社においてYouTubeコンテンツチームの統括を務め、海外事業展開を進める等、当社事業と親和性のあるコンテンツ制作及びIT・テクノロジー等をはじめとする多様な分野における豊富な経験と高い見識を有しております。


4.6 出席率

氏名 出席回数 出席率
夏野 剛 18回中18回 100%
山下 直久 18回中18回 100%
村川 忍 15回中15回 100%
加瀬 典子 18回中18回 100%
川上 量生 18回中16回 89%
周 欣寧 18回中18回 100%
鵜浦 博夫 18回中18回 100%
ジャーマン・ルース マリー 18回中18回 100%
森泉 知行 18回中18回 100%
船津 康次 18回中18回 100%
渡邊 顯 18回中18回 100%

(注)
1.2023年3月期において当社は、合計18回の取締役会(定時取締役会12回、臨時取締役会6回)を開催いたしました。
2.取締役村川忍は、2022年6月24日開催の第8期定時株主総会において新たに選任されたため、取締役会の開催回数が他の取締役と異なっております。


4.6 実効性評価

当社は毎年、コーポレート・ガバナンス報告書において、取締役会実効性評価の概要を開示しております。取締役会の実効性の維持・向上を図るため、取締役に対してアンケートを実施し、2023年6月開催の取締役会において、取締役会の実効性についての分析・評価を行いました。今回の実効性評価においては、取締役会における議論や意思決定が明確な業績指標に基づき適切に行われている点、人材戦略が適切に監督されている点、内部統制やリスク管理体制の構築、株主との建設的な対話のための体制構築、DXの推進等において、社内外の役員ともにいずれも高い評価がなされており、取締役会は実効性があるとの評価となりました。
一方で、サステナビリティ方針の明確化、非財務情報開示への取組み、CEOの後継者計画の策定・運用、適切なインセンティブ報酬の設定などについては改善の余地があるとの評価となりました。
実効性評価において確認された課題については、取締役会で共有され、責任部署を明確にして対応を進めてまいりました。その結果、2023年3月期において統合報告書の発行を行った他、指名委員会等設置会社への移行に伴い指名委員会・報酬委員会による審議体制の整備を行う等、前年度の課題はいずれも改善が進められており、取締役会への報告がなされております。また、東京2020オリンピック・パラリンピックのスポンサー選考にかかり当社役職員が贈賄の容疑で逮捕・起訴された問題に関連し、社内体制の不備に対する指摘も見受けられましたが、当該事案発覚後、直ちにガバナンス検証委員会を設置し調査を行い、同委員会の提言を踏まえ経営改革推進委員会において迅速に取締役会の監督機能の強化や職務権限の明確化等を行う等、内部統制の強化を推進している点について一定の評価がなされております。今後も引き続き、他の課題含め、改善に向けた取り組み及びモニタリングを継続してまいります。


5. 指名委員会

指名委員会は、社外取締役3名で構成され、委員長は社外取締役が務めます。指名委員会は、取締役選任及び解任に関する基本方針の策定、取締役の選任及び解任に関する議案の内容の決定、執行役等の選任及び解任に関する取締役会への答申並びに最高経営責任者の後継者計画の検討等を担います。


6. 報酬委員会

報酬委員会は、社外取締役4名で構成され、委員長は社外取締役が務めます。報酬委員会は、取締役及び執行役の個人別の報酬等の決定に関する方針の策定、並びに取締役及び執行役の個人別の報酬等の決定等を担います。


7. 監査委員会

監査委員会は社外取締役3名で構成され、委員長は社外取締役が務めます。監査委員会は、取締役及び執行役の職務の執行の監査及び監査報告の作成、並びに会計監査人の選解任及び不再任に関する議案の内容の決定等を担います。監査委員会は、同委員会で決定する監査計画に基づき、当社の内部監査部門と連携しながら、監査を実施するものとしております。


8.    会計監査人

8.1 体制

(1)監査法人の名称

EY新日本有限責任監査法人

(2)継続監査期間

2020年4月1日以降

(3)業務を執行した公認会計士

指定有限責任社員 業務執行社員 原科 博文 氏
指定有限責任社員 業務執行社員 脇本 恵一 氏
(注)継続監査年数については7年以内であるため、記載を省略しております。

(4)監査業務に係る補助者の構成

当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士12名、その他24名であります。

(5)監査法人の選定方針と理由

監査等委員会(指名委員会等設置会社移行後は監査委員会。以下同様)は、会計監査人候補者から、監査法人の概要、監査の実施体制等及び監査報酬見積額について書面を入手し、経営執行部門から情報提供を受け意見交換を行い、会計監査人候補者との面談、質問等を通じて、情報収集・分析を実施したうえで会計監査人を選定しております。会計監査人の解任又は不再任の決定方針に基づき、監査を遂行するに不十分であると判断した場合は、会計監査人の解任又は不再任に関する議案の内容を決定いたします。

(6)監査等委員会による監査法人の評価

監査役会及び監査等委員会は、会計監査人の評価基準を策定し、経理及び内部監査部門等から情報提供を受け意見交換を行い、会計監査人の品質管理、独立性、専門性、改善事項への対応状況等の相当性を検討し総合的に評価しております。

8.2 報酬

(1)監査公認会計士等に対する報酬
区分 2022年3月期 2023年3月期
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
当社 96 100
連結子会社
96 100

(2)監査公認会計士等と同一のネットワーク(Ernst & Young)に対する報酬
※(1)を除く
区分 2022年3月期 2023年3月期
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
監査証明業務に
基づく報酬(百万円)
非監査業務に
基づく報酬(百万円)
当社 1
連結子会社 13 3 40 4
13 3 40 5

(2022年3月期)
連結子会社における非監査業務の内容は、税務に関するアドバイザリー業務であります。
(2023年3月期)
当社及び連結子会社における非監査業務の内容は、税務に関するアドバイザリー業務であります。

(3)監査報酬の決定方針

当社の事業規模、特性、監査日数等を勘案し、監査等委員会の同意を得た上で決定しております。当社の事業規模、特性、監査日数等を勘案し、監査等委員会の同意を得た上で決定しております。

(4)監査等委員会が会計監査人の報酬等に同意した理由

監査等委員会は、会計監査人の監査計画の内容、職務執行状況、過去の報酬実績、報酬見積額の算定根拠等を確認し検討した結果、相当であると判断し、報酬等の額に同意しております。