頭を柔らかくして、
次の“世代を超えて
読み継がれる一冊”を。

08 16

MOA ISHII

石井萌愛

出版事業グループ 児童統括部 児童第一編集部 一般児童書編集部
2020年入社/美学芸術学専修課程卒

PROFILE:幼少時代から図書館が一番のお気に入りの場所だった。自宅の本棚も、床が抜けないか心配になるほど書籍でぎっしり。角川学習まんがシリーズ編集部を経て、2021年から一般児童書編集者に。

幼き頃の図書館の思い出。

思えばこれまでの人生、とても長い時間を図書館で過ごしてきたような気がします。絵本、児童書、小説と、未就学児のころから大学生になるまで、いろいろな本と図書館で出会ってきました。黄ばみかかって年季の入った一冊を読み終えて、ふと貸し出しカードの履歴を見ると「この本、私が生まれる前から借りられている!」と驚かされたこともありました。本というものは、世代を超えて私たちを夢中にさせてくれているんだと感動したのを覚えています。大学時代には書店でのアルバイトを通して、自分の大好きな作品を「人に届ける」楽しさに気づきました。そんな私がKADOKAWAを志望したきっかけは、インターンシップ。若手社員の方たちがすごく楽しそうに自分の仕事について話してくれたのが印象的でした。出版社には、どこか重厚な印象を持っていましたが、それとは違う勢いを感じました。
現在は、一般児童書編集部にて絵本を中心とした児童書の編集に携わっています。多様な書籍ジャンルのなかでも、絵本の編集は“非常に自由なアプローチで本づくりをできる”点が特徴ですね。絵本作家さんに依頼をするのみならず、おもちゃメーカーと協働して企画を立てることや、出版以外の業界で活躍されている方にお声がけすることもあります。先日は、歌舞伎役者の市川海老蔵さんによる初めての絵本が編集部から刊行されました。「子どもの本」という軸がブレなければ、どんな書き手にもアプローチできるのは、児童書編集の面白さの一つですね。

長年読み継がれる
ベストセラーのその先へ。

絵本は古くからある作品が根強い人気を誇るジャンルだからこその難しさもあります。書店の絵本コーナーへ行くと、長年愛され続けているベストセラーが目立つ場所にたくさん並んでいます。一冊の絵本が親から子へと読み継がれるのはとても素敵なこと。でも私たちは、そうした作品を超えていかなければなりません。今の時代にフィットする切り口の企画や、作家さんの新しい魅力を引き出せるような企画を生み出すことが大切ですね。大人向けの実用書や、教育サービスのトレンドからヒントを得ることもあります。
また“つくる”だけでなく、“届ける工夫”も大切。新刊を企画する際には必ず、どうやって一人でも多くの子どもに届けるか、営業・宣伝担当と一緒にアイデアを考え抜きます。絵本に登場するキャラクターのグッズを開発したり、PVをつくったり、ユニークな宣伝プランを練って話題作りに注力することも。KADOKAWAは各種自社メディアやグッズ開発部門などもあり、スピーディに協働できて、実現できないアイデアはないと思えるほど。だから、既成概念に囚われないアイデアをどれだけ頭を柔らかくして生み出せるかが勝負でもあります。

ママ友との会話で使える
LINEスタンプに、
銭湯とのコラボイベントまで。

例えば「Sassyのえほん」シリーズでは、ママバッグやスマホケース、特製LINEスタンプを作成し、暮らしの中で絵本の存在をいつも感じていただけるような施策をカタチにできました。1月には主婦層をターゲットにしたメディア『レタスクラブ』の協力で、「離乳食」をテーマにしたプレゼントキャンペーンを実施予定です。『りすのおふろやさん』というお風呂テーマにした絵本では、売れ行きに大きな影響を与える“帯コメント”を、書籍編集部の協力でお風呂の医学研究の専門家に執筆いただくことができました。それをきっかけに絵本の存在が広く知られ、ついにはリアル銭湯とのコラボまで実現。絵本の一場面を銭湯絵のような巨大壁画にして、キッズ風呂を彩りました。こんな風に何でもできてしまうKADOKAWA。作家さんからも「KADOKAWAの編集者は、面白いこと何でもやるね」と言われています。
今は、SNS時代。小さなお子さんが絵本を読んでいる姿を多くの親御さんがSNSにアップしてくれます。お子さんたちの眩しいほどの笑顔を見ると、本当にうれしくなるし、よし!明日からも頑張ろうって思えます。これからも自由な発想で、児童書・絵本づくりに携わっていきたい。KADOKAWAには多様な編集部・事業局があり、エンタメ小説、マンガ、新書・実用書、学習参考書までも手がけている。つまり、それだけ様々な書き手とのつながりがあるということです。そうしたKADOKAWAの無限のつながりも活かしながら、これからも頭を柔らかくいろんな企画を立て続けていきたいですね。

※記事内容は、取材当時(2021年12月)のものです。

WORKS 担当制作物

  • 『Sassyのあかちゃんえほん ぽけっと』シリーズ

    シリーズ累計100万部を突破した「Sassyのあかちゃんえほん」シリーズのポケット版。軽くて小さな手のひらサイズだから、赤ちゃんが自分でめくれて、寝かしつけ時の親御さんの手の疲れも軽減。

  • 『りすのおふろやさん』

    イヤイヤ期でお風呂を嫌がる赤ちゃんに悩む親御さんはいっぱいいます。そこで、お風呂に入るのが楽しみになる絵本で子育ての負担を減らしたいという想いから生まれたのがこの一冊。

  • 『りすのおふろやさん』銭湯コラボ

    『りすのおふろやさん』と「おふろcafé」とのコラボイベント。銭湯絵のような『りすのおふろやさん』巨大壁画や、動物たちと緒に身体を洗える展示コーナーなど、子どもたちが楽しく入浴体験ができるイベントに。