WEB発小説の新ジャンル“新文芸”。
新たな書店コーナーを目指して。
ここ数年で急成長を遂げている新しいジャンル、新文芸の営業企画を担当しています。新文芸というジャンルは、WEB上で発表された作品を書籍化したもので、ライトノベルよりもやや上の年齢層をターゲットにしています。売場ではライト文芸・ライトノベル文芸というジャンルとして並べられることもあります。レーベルとしては、MFブックスやカドカワBOOKS、エンターブレイン単行本などがあります。営業企画の仕事は、刊行された書籍をどのように販売し、部数増加につなげていくかが大きな役割になります。主な業務としては、毎月刊行される新刊の初版部数の提案、重版の提案、配本、販促企画の立案・実行、売上予測・報告などです。具体的には、販売会社と部数調整の交渉を行ったり、書店での販促展開を考えたり、フェアを企画・開催したりなどの業務にあたっています。もう一つ営業企画の大きな役割として、書店に対して新文芸というジャンルをいかに浸透させるかというミッションがあります。新文芸は年々市場が拡大している急成長ジャンルですが、まだまだ新しいジャンルでもあるので、売り方や置き場に迷っているという声が挙がることもあります。新文芸とはどういうジャンルなのか、どんな読者層を狙っているか等々、書店によりわかっていただくべく日々工夫をしています。
エンタテインメント・ビジネスに
広く関わりたいと入社。
若手への期待値が
高い職場環境。
小さい頃から本が好きで、編集者に憧れていました。就職活動をしていく中で編集以外の仕事にも関心が広がり、KADOKAWAなら幅広いジャンルにさまざまな形で関われると思い、入社を決めました。入社後、営業企画局のコミック課に配属され、コミックの販促企画を4年間経験しました。ここで販促企画の基本的なスキルを学びました。とりわけ、コミックはアニメ化などメディアミックス作品が多く、1年目でアニメ化作品を担当したことが自身の成長に大きく繋がったと思います。上司や先輩、担当編集部の編集長に支えられ、試行錯誤しながらアニメ化フェアを実施しました。
KADOKAWAの良さは、若手への期待値が高く、仕事をどんどん任せてくれるところです。もちろん最初は右も左もわからない状態だったので、上司や先輩の仕事の仕方を参考にしつつ、編集部と相談しながら進めます。入社当初はわからないことだらけだったので、やるべきことをひたすらこなしていく毎日でした。忙しい日々でしたが、そうしていく内に自分なりの考え方や仕事の進め方が固まってきて、「自分がどうしたいか?」ということが段々見えてくるようになりました。この仕事では、良い作品を作るだけではなく、出版物が読者の目にとまり、購入してもらうための施策がいかに大切かを学びました。1冊の本を出版するために、本当にたくさんの人が関わり、いろいろな人の手を経由して、読者の手に届くものだと実感します。
アイディアを
具体的な形にして実行する、
販促企画の面白さと
やりがい。
年々書籍の刊行点数が増加し競争が激化する中で、ヒット作を作ることはそう簡単なことではありません。そんな中で自分が担当した作品を重版する際は、やはり嬉しいし、楽しいです。営業企画の仕事は、読者に対して“手に取ってもらうためにどんな本とともに並べてもらうか”、“どこの書店に何冊並べてもらうのが効果的か”、“どうすれば1冊でも多くの売り上げに繋げられるか”等々に、日々頭を悩ませているのですが、その努力が売り上げに直結した時はやりがいを感じます。
書店に対しては、“新文芸”というジャンルを書店に浸透させるために、書店向けの「新文芸販売ガイド」という小冊子を企画・制作しました。「そもそも新文芸とは何か」「どれくらい伸びているジャンルなのか」「今の売れ筋は何か」「今後の展開や成長性」等々、書店さんが新文芸を扱う際の指針などを盛り込んだものです。書店さんからは、「新文芸についてよく知ることができ、理解が深まった」という声をいただくことができました。そんな声をいただけるとやはり嬉しいですし、さらにやる気も増します。書店さんの集まる勉強会で新文芸に関する説明会なども開催し、さらなる新文芸の浸透に力を注いでいます。新たな市場創出の一翼を担えればと思っています。
※記事内容は、取材当時(2018年1月)のものです。
WORKS 担当制作物
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「自分の異世界を見つけよう!」 フェア
全国の書店を対象に、2017年9月に開催されたカドカワBOOKS・MFブックス・エンターブレイン単行本の合同フェア。書店向けの新文芸販売ガイドを制作したり、ディスプレイコンクールを開催したり等、さまざまな施策を試みる。
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『オーバーロード』2期アニメ化フェア
原作・丸山くがねによる小説。小説投稿サイト「Arcadia」で連載され、2015年にTVアニメ化。2012年7月にエンターブレインで書籍化された人気タイトルの一つ。2018年に第2期のTVアニメ化にあたって、『オーバーロード』2期アニメ化フェアを開催。