本を読んだことのない
人に、
本の魅力を
伝えるには?!

06 14

MAI UEDA

植田真衣

文芸局 文芸図書編集部
2015年入社/文芸表現学科卒

PROFILE:高校卒業後、芸術系大学へ進学。アート、デザインなどものづくりを志す者たちの輪に入る。自身は文学表現を専攻し、文芸同人誌発行などの活動に没頭。KADOKAWA入社後、実用書編集の仕事を3年経験した後、2018年に現職へ。文芸編集者として、新しいスタートを切った。

入社後、直ちに独り立ち。

本格的に就職先について考え始めたのは、就職活動が始まってからでした。やっぱり私はものづくりの仕事がしたい、何かを生み出す仕事に就きたいと思いました。そして、専攻していた文学に携われる会社を志しました。数ある出版社のなかでもKADOKAWAは、歴史もありながら新しいことにチャレンジしている会社に見えました。日本古来の俳句の雑誌があれば、辞書もある。かと思えば、ライトノベルやアニメも。古いものを大切にしながら、新しい世界を切り拓いている。これは面白そうな会社だなと思いました。
入社し最初に配属されたのが、ビジネス・生活文化局。実用書の編集者でした。「生活の役に立つ、日々を潤す本であれば、ジャンルを問わず本をつくれる部署だったので、レシピ本、10〜20代向けの恋愛本、言葉集・・・などなど、自分の興味や好奇心、そして本能を思う存分に駆け巡らせて、新しい本の企画を立て続けました。入社1年目から、担当作品を手がけられたのはうれしかったし、勉強にもなりました。その編集部には3年半在籍し、30冊は出版しました。若いうちからたくさんの打席に立てるのは、KADOKAWAの魅力の一つですね。

作家と読者の橋渡し役。

その後、文芸編集部へ。異動してきて間もない私。一日も早く、一人前の文芸編集者にならなくてはと日々奮闘しています。以前の部署でネット発の作品づくりを数多く手がけてきましたので、その経験も活かしチャレンジしてきたいですね。文芸編集の仕事でも作家の発掘は重要です。各新人賞の受賞者はもちろん、『カクヨム』などの小説投稿サイトなどのネットメディアも時間の許す限りチェックし、原石を探す日々。気鋭の才能と出会えたら、物語の方向性、世界観、キャラクター設定、ストーリー展開など、あらゆる観点で打合せを重ね、物語をブラッシュアップしていきます。編集者は、作家と読者をつなぐ橋渡し役だと私は思っています。作家は、魂を削って物語を紡ぎ出します。だからこそ、物語を読者にしっかりと届けることは、編集者の使命だと思うのです。執筆段階における作家との打合せも真剣勝負ですし、物語が完成した後のプロモーションや販促物の企画においても、小さな努力も怠れません。また橋渡し役としては、読者の声や思いを作家に届けることも大切です。それが、物語の新たな展開や次回作への糧になればとてもうれしいことですから。

本の魅力を、一人でも多くの人に
届けたい。

本は、本当に面白いものだと思います。自分が今生きている世界とはまったく別の世界に連れて行ってくれて、文字が並んでいるだけなのに頭のなかには映像が浮かんで来る。不思議です。確かに「本を読まない若者が増えている」という事実はありますが、私は、本を読んだことのない人に本の魅力を伝える仕事をしていきたいと思っています。それは「作品自体が面白い」だけでは実現できないことかもしれません。本の在り方やプロモーションなども含めて、まったく新しい取り組みが必要なのだと思います。そして、常識や慣習にとらわれない新しいチャレンジができるのは、きっとKADOKAWAしかないんじゃないか。私はそんな風に思っています。

※記事内容は、取材当時(2018年12月)のものです。

WORKS 担当制作物

  • 『君の腕の中は
    世界一あたたかい場所』

    植田が実用書編集者時代に担当した作品。現代に生きる女の子の日常や葛藤を描いた、コミック形式の恋愛短編集。instagramで人気を博していた著者のデビュー作。