KADOKAWAのコンテンツを、
いかにゲームに活かすか。KADOKAWAの新たなコンテンツを、いかにゲームから生み出すか。

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TOMOYUKI MIYASHITA

宮下知幸

アスキー・メディアワークス デジタルコンテンツ部
インタラクティブコンテンツ課 課長 ゲームプロデューサー
1999年入社(中途)/商学部 卒業

PROFILE:前職の広告代理店時代にネット黎明期の新聞社に出向し、デジタル部門に配属され、ニュースサイトの制作や営業を担当。「ネット」が持つ即時性やインタラクティブ性に大きな未来を感じた。自身もゲーム好きだったこともあり、最大のインタラクティブメディアである「ゲーム」業界で、No.1雑誌を展開するメディアワークス(現:KADOKAWA)への入社を決意。以後、宣伝部での勤務を経て、ゲームのプロデューサーに。

KADOKAWA独自の
コンテンツをゲーム化する。
いわば、社内メディアミックスの
仕掛け人。

KADOKAWAにおけるゲームプロデューサーとは、ゲームの企画立案、予算作成、損益計算、開発会社へのオリエンテーション、仕様書のチェック、イラストやシナリオの発注、宣伝計画の立案などなど、ゲーム製作のすべてを統括する仕事です。
かつてのガラケー時代には、1本のゲームを製作するのに億単位の予算をかけることはあまりありませんでしたが、プラットフォームがスマートフォンに移行し、製作費は一気に十倍以上にまで跳ね上がりました。画面サイズが大きくなり、容量も増え、さらに自由にネットにアクセスできるということは、その分、ユーザーの欲求も高まります。それに応えるために頭をひねる日々です。当然、投資に見合うリターンがあるのか、ビジネスマンとしての見極めも必要です。
KADOKAWAの大きな強みを2つあげると、「独自のコンテンツがある」「独自の媒体がある」ことだと言えるでしょう。連載している人気コミックや小説があり、不動の地位を確立しているキャラクターがある。そして、それらの原作者とは編集部を通じて直接やり取りすることが可能です。また、出版している雑誌やWEBを通じてゲーム発売の告知や、それ以前に企画段階からゲーム化を想定した連載もできる。メディアミックスという武器を活用しながらゲームづくりができるのは、KADOKAWAならではだと思いますね。

もっともインタラクティブ性が
発揮できるのがゲーム。
その情熱だけで、未経験から
プロデューサーに。

前職で私は広告代理店に勤めていたのですが、ある時に新聞社に出向する機会がありました。そこで私が携わったのが、当時サービスがはじまったばかりのニュースサイトの制作と営業でした。世間を賑わすニュースを、即時的に配信し、それに対して読者からすぐにリアクションがくる。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌という既存のマス4媒体では味わうことのできないインタラクティブ性に、「これだ!」という想いを抱いたのを覚えています。
インタラクティブ性という視点で見た時に、もっともそれが発揮できるのがゲームだと私は思いました。その頃、メディアワークス(現:KADOKAWA)では「電撃」シリーズとしてゲーム雑誌をすでに複数展開しており、業界の雄と言っていいポジションにありました。1999年に転職でメディアワークス(現:KADOKAWA)に入社し、当初は前職の経験を買われて宣伝部に配属。翌年の春には現在の部署に異動し、ゲームプロデューサーとしての一歩を踏み出しました。
社内の売れ筋コンテンツについては知っていても、それがゲームに向いているかどうかの目利きはできません。売れている部数をもとに企画を立て、トライ&エラーを繰り返すことで、少しずつ「肝」が掴めるようになっていった気がします。最近は、原作が売れるのを待つだけではなく、こちらから仕掛けるようにしています。あらかじめゲーム化を前提にして連載をスタートさせるなど、「攻め」の姿勢も養われたと思っています。

アウトプットはデジタルでも、
その前にはアナログな「人と人」の
つながりがある。

やはり自分が面白いと思ってプロデュースしたゲームが、見事にヒットすれば嬉しいですよね。現代のゲームはネットを通じて、ユーザーの意見がダイレクトに届きます。シナリオありきでつくってきたゲームを、ファンの期待に応じて変化・成長させることができる。そこにはダイナミックな手応えがあります。
また、私なりに楽しんでいるのは、デジタルコンテンツを企画する前段に、アナログなコミュニケーションが必須になってくるところです。業界のトレンドや、最新テクノロジーなどは、勉強すればいい。けれど、社内の編集者や作家さんが、いまどんなことを考えているのか、何がしたいのか、そこに敏感でなければ社内メディアミックスははじまりません。時には酒を酌み交わしながら「ネタ」を探す。ゲームプロデューサーは外にも中にもアンテナを張り、「人の力」でできごとを生み出すことが求められるわけです。
いまの部署には宣伝部から来た私を含め、編集部、開発会社のプランナーなど、多彩なバックグラウンドを持った人材が結集しています。ゲームはビジュアル、ストーリー、音楽、声優、演出、操作性などあらゆる要素を駆使してひとつの世界観を構築します。しかもユーザーが100人いれば100通りの遊び方がある。さまざまな視点がさまざまなカタチで生かせるのが、この仕事の醍醐味だろうと思います。

※記事内容は、取材当時(2018年1月)のものです。

WORKS 担当制作物

  • 『城姫クエスト 極』

    「月刊コミック電撃大王」のイラスト企画を原作としたソーシャルゲーム。全国の城を擬人化し、プレイヤーが城の主となって黒い力に侵食された「城姫」を救うストーリー。2014年にサービスが開始されたが、事前登録だけで20万人を突破した。
    © KADOKAWA CORPORATION 2014
    © GREE, Inc. cAZITO Co.,Ltd.

  • 『天華百剣 -斬-』

    「電撃G’s magazine」の連載を原作にした、戦乱の時代から歴史をつくってきた名剣の乙女「巫剣(みつるぎ)」たちによる美少女剣劇アクションゲーム。スマホゲームのダウンロード数は300万を超え、さらにゲーム以外の展開も、「電撃G’sコミック」「電撃マオウ」でのコミック連載や「電撃文庫」での小説化など複数の媒体で継続している。
    © KADOKAWA CORPORATION 2016
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