幅広いジャンルで展開
する児童書レーベル。
メディアミックスで、
新たな市場の創出へ。

08 14

NAO ARITA

有田奈央

文芸・ノンフィクション局 第3編集部
2012年入社/文学部比較文化学科卒

PROFILE:大学では比較文化を学び、明治〜昭和時代のファッション文化に対する浮世絵・美人画の影響などを研究。就職活動では、いろいろな人と出会って、楽しく仕事がしたいと、出版社の編集職を志望。本が好き、漫画が好き、映画が好き……と、幅広いコンテンツをもったKADOKAWAに魅力を感じ、入社。児童書籍を扱う第3編集部に配属され、角川つばさ文庫の編集を担当。現在、入社6年目を迎え、これまで数々のヒットシリーズを世に送り出す。

企画の掘り起こしから、作家の選定、
販促施策まで、業務は多岐にわたる。

児童書レーベルである角川つばさ文庫は、2009年に創刊されたレーベルで、小中学生を主な読者ターゲットにしています。一般書とは異なり、フォントも大きく、漢字にはルビも振られ、挿絵もたくさん入っており、子どもが楽しく読書できるように構成されているのが特徴です。オールジャンルのレーベルのため、国内外の古典や名作はもちろん一般書の児童文庫化やノンフィクション、レーベル発のオリジナル作品に注力するなど、幅広いジャンルを手がけています。2012年には、独自の小説賞である角川つばさ文庫小説賞も設立し、新人作家の発掘にも力を入れています。
編集の業務は、企画の掘り起こしから、作家・イラストレーターの選定、原稿チェック、デザイン発注、販売促進のアイディア出しや新人賞選考など、多岐にわたります。部内で企画を考えて作家さんに原稿を依頼したり、作家さんと相談しながら企画を考えたり、編集者自ら企画に関わることが多いことが一番のやりがいです。その分、自分が面白いと思うだけではなく、市場に対するアンテナも敏感に張る必要があります。

コンテンツの幅広さが
KADOKAWAの魅力。
多様な入り口からユーザーを
楽しませる。

KADOKAWAの魅力は、小説、コミック、映画、アニメ、ゲームなどと、幅広いコンテンツを持っており、さまざまな入り口やアプローチから読者に迫れるという点であり、書籍の編集をする上でも大きな武器になると感じました。入社後、希望部署のひとつだった角川つばさ文庫の編集部に配属されたのは幸運でした。
児童書籍の編集部は女性編集者が多く、子育てをしながら働く先輩編集者もたくさんいます。最初は先輩編集者の指導の下で、編集業務を一から学び、シリーズものを引き継ぎながら、徐々に独り立ちしていきます。配属当初はあらすじや帯のキャッチコピーを書くのにとても苦労をしました。配属半年後には、古典・名作ものを1冊手がけました。その後、自分の企画を形にすることができるようになり、今では自分なりのスタイルも出せるようになりました。

児童文庫の可能性は無限大。
児童文庫のメディアミックス化にも
挑戦してみたい。

編集者の役割って、電源と電球をつなぐ回路のようなものじゃないかと、先輩編集者に教えてもらったことがあります。作家さんは電源、読者の方は電球、それをつないでいる回路が編集者ですね。作家の力を漏らすことなく、電球である読書の方に届けられれば、100%の明るさを灯すことができます。しかし、途中の回路にキズや欠陥があれば、電球は100%の明るさを灯すことができず、薄暗くなってしまいます。編集の役割は回路設計のようなもので、作品の魅力を損なうことなく、可能であれば魅力を押し上げて読者に伝えることだと思っています。編集者の手腕次第で、明るくもなれば、薄暗くもなってしまう。責任は重いですが、その分、うまくいった時はとても充実した気持ちになります。
児童書というカテゴリーで考えると、“この本がきっかけで読書にハマった”と、自分が携わった本の書名が挙げられると、本当に嬉しいです。こんな充実感と喜びが、次の本の原動力になっていきます。現在、角川つばさ文庫では、アニメを原作として児童文庫化することはありますが、その逆はまだありません。自分が手がけた児童文庫をアニメ化する、そんな仕事にも挑戦してみたいですね。また、角川つばさ文庫の作家さんを一般文庫の書き手に育てるといった試みも行っています。まだまだ、やれることはたくさんあるレーベルです。

※記事内容は、取材当時(2018年1月)のものです。

WORKS 担当制作物

  • 『いみちぇん!』シリーズ

    2014年の第1巻刊行以来、現在までに10巻を数える人気シリーズ。漢字を書き換えて(意味をチェンジさせ)戦うという学園ストーリー。物語を楽しみながら、漢字の勉強にもなるという一石二鳥のシリーズ。

  • 『1%』シリーズ

    2015年の刊行以来、現在まで8巻刊行。小中学生に絶大な人気を誇るシリーズ。両思い率1%以下の相手に恋する女の子たちのラブストーリー。

  • 『ソライロ♪プロジェクト』

    2017年6月に刊行された新シリーズ、現在第2巻まで刊行。動画投稿サイトで絵師にスカウトされた主人公が、さまざまなコンテストや投稿に挑戦する話。