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■BLの歴史を紐解き、BLとは何かを探り、国内外でのBL文化の広がりを紹介
男性同士の恋愛を扱ったフィクションジャンルのひとつ、ボーイズラブ(以下BL)。従来、小説やマンガなどで展開されていましたが、近年は映像作品も増え、広く認知されつつあります。テレビやインターネットでは世界中のBLドラマを見ることができます。
歴史をたどると、1960年代に森茉莉氏が女性作家としては日本で初めて男性同士の性愛を書き、1970年代に入ってからは竹宮惠子氏など少女マンガ家が少年同士の恋愛、いわゆる「少年愛」作品を描きはじめました。その後、1978年に初めての専門誌『JUNE』創刊を経て、BLはさまざまなサブカルチャーを生み出し、そのすそ野を広げてきました。
また1992年、角川書店(現・KADOKAWA)は、耽美・BL小説を主に扱う文庫レーベルとして、「角川ルビー文庫」を創刊。それは雑誌『JUNE』で育ったクリエイターたちの活躍の場となりました。
本展では『JUNE』を起点に、専門ジャンルとしてのBLの変遷を大きく3つの時代に分け、各時代のエポックメイキングとなる作品やムーブメントを、原画や書籍、雑誌、映像、年表などとともに紹介。BLに詳しい方はもちろん、BLに初めて触れる方でもその文化を知ることができます。
場内では竹宮惠子氏、あさぎり夕氏、紗久楽さわ氏などの「原画’(ダッシュ)」や原画、中島梓(栗本薫)氏の小説の直筆原稿、すでに休刊となったBL雑誌など貴重な展示物を見ることができます。また、会場内一部エリアでは、声優の森川智之氏がナレーションを担当します。
※「原画’(ダッシュ)」とは、コンピュータにマンガ原稿を取り込み、綿密に色調整を重ねた上で印刷した、精巧な複製原画のことです。
マンガ家・竹宮惠子氏をプロジェクトリーダーとした京都精華大学国際マンガ研究センター/京都国際マンガミュージアムのプロジェクトです。
イントロダクション
このエリアでは、今年上映される映画『タクミくんシリーズ 長い長い物語の始まりの朝。』PVや2022年に上映された映画『メタモルフォーゼの縁側』PVなど、さまざまなBLに関係する映像作品が流れます。
1.「JUNEの時代」
雑誌『JUNE』は1978年に創刊されました。男性同士の恋愛をテーマとした作品を中心に掲載し、BL作家の育成もしており、その後のBL文化の発展に大きく貢献することとなりました。
このエリアでは、創刊のきっかけとなった元編集長の佐川俊彦氏が話す創刊当時の秘話や誌上で行われたBLマンガ家の人材育成について、また、同誌から誕生して後のBLを率いた作家たちと作品などを網羅的に紹介します。「JUNE時代」を起点とし、その後のBL文化の発展について解き明かします。
さらに、『JUNE』と関係が深いマンガ家・竹宮惠子氏が描いた創刊号の表紙や本展のキービジュアルでもある作品「『風と木の詩』 午睡のKISS」などの、貴重な原画’(ダッシュ)を展示します。
●雑誌『JUNE』(ジュネ)とは
出版社マガジン・マガジン(旧サン出版)が発行していた、男性同性愛をテーマにした女性向け雑誌。1978年10月に『Comic Jun』として創刊され、1979年、『JUNE』に改題、1995年に休刊しました。『JUNE』とそこから派生した各誌では、マンガと小説を中心に、関連する映画や文学の紹介がされ、読者による投稿も掲載されました。
2.「やおい」 ~やまなし、おちなし、いみなし~
「やおい」という言葉のルーツは、1979年発行の同人誌だと言われています。
その後、80年代後半からのやおい(二次創作)のブームにより、主にマンガやアニメ、ゲームなどのフィクション作品において2人のキャラクターの恋愛関係を攻め×受けで示す「カップリング」表記が生まれ、コミックマーケットに参加するサークル数が急増するなどの社会現象を引き起こしました。その急激な変化を視覚的に説明します。
※本展示では「やおい」を二次創作系同人BLと定義して取り上げています。
3.「花ひらくBL文化」
1990年代前半からBLマンガ雑誌、BL小説誌の創刊が相次ぎ、BL文化がますます注目を集めるようになりました。今年で創刊30周年を迎える雑誌『MAGAZINE BE×BOY』など、BLファンに広く読まれている雑誌を実物の展示とともに紹介します。
この時代には、BLとBLではない作品の両方で活躍する作家も増えています。本展ではその中のひとり、あさぎり夕氏の原画を見ることができます。
また、現在では「BL」は世界中に知れ渡り、世界各地でイベントが行われるようになりました。作品数の増加、サブジャンルの広がり、メディアミックス化などBL作品の広がりを紹介します。
サテライト会場
メイン会場であるエディットアンドアートギャラリーを飛び出し、同じフロアのブックストリートにサテライト会場を設置。ここでは、メイン会場で展示がされている書籍や雑誌などを実際に手に取り読むことができます。
また、ここではBL本の帯についての展示も設置します。もともと本の帯は、本の紹介やキャッチコピー、宣伝文句が記載されており、読者に手に取ってもらう重要なアピールポイントですが、その中でもBL本の帯は大胆なキャッチコピーが書かれていることで知られています。BL帯を以前からご自身のサイト「カフェオレ・ライター」で紹介しているフリーライター・マルコ氏の協力を得て、マルコ氏が注目しているBL本の帯を紹介します。
■「角川武蔵野ミュージアム」について
図書館、美術館、博物館が融合した文化複合施設。
館長の松岡正剛氏が世界を読み解く9つの文脈に沿って独自の配架をした「ブックストリート」、博物学者の荒俣宏氏が監修する「荒俣ワンダー秘宝館」、「本と遊び、本と交わる」をテーマにした「本棚劇場」、これら「エディットタウン」は当館のメインエリアです。本棚劇場では、360度を取り囲む高さ8mの巨大本棚にプロジェクションマッピングが映し出されます。
また、マンガや多数の出版社のライトノベルが並ぶ「マンガ・ラノベ図書館」や、企画展が開催される「グランドギャラリー」など、松岡館長が提唱する「想像力とアニマに遊ぶミュージアム」として、様々な「まぜまぜ」を提供します。
建築デザイン監修は隈研吾氏、アート部門ディレクターは神野真吾氏。
公式サイト:https://kadcul.com/
Twitter:https://twitter.com/Kadokawa_Museum
Instagram:https://www.instagram.com/kadokawa_culture_museum
Facebook:https://www.facebook.com/kadokawaculturemuseum
一般の方からのお問い合わせ:0570-018-396(10:00-17:00)
■角川文化振興財団について
角川文化振興財団は「わが国の文化の振興に寄与する」という財団の設立目的実現のために、文芸の成果に対する授賞、文芸に関する出版、文芸の研究や著述の刊行への助成、映画芸術振興に関する助成、また文芸・映画資料の収集・保存・展示等、様々な事業を行っております。
公式サイト:https://www.kadokawa-zaidan.or.jp/