2021年5月31日(火)、第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」(主催:講談社)の候補作が発表され、株式会社KADOKAWAより2021年5月28日に発売しました
藤岡雅著『保身 積水ハウス、クーデターの深層』と、同年9月29日に発売しました
インベカヲリ★著『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』の2作がノミネートされました。
地面師=他人の土地を自分のもののように偽って第三者に売り渡す詐欺師。積水ハウスは地面師に騙され、取引総額70億円、55億5900万円を支払いました。その積水ハウスでは2018年、地面師事件の全容解明を進める会長が失脚します。背景には、事件への社長責任が明記された「調査報告書」の存在がありました。責任を問われた社長が、会長を返り討ちにしたのです。約3年に及ぶ取材で積水ハウスで起きたクーデターの内実を明かすだけでなく、この国の漂流する企業倫理までも抉りだした経済ルポです。
- 『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』
2018年6月9日、走行中の東海道新幹線の車内で男女3人が襲われ、2名が重軽傷、男性が死亡した「新幹線無差別殺傷事件」。「刑務所に入りたい」という動機だったため、一審で無期懲役となった際に犯人・小島一朗は法廷で万歳三唱をしました。控訴せず20年1月に刑が確定。小島は刑務所内で生存権を主張し続けています。本書は約3年にわたる取材によって、小島の理解不能な動機、思考を浮き彫りにした作品です。
受賞作は7月21日(木)決定される予定です。
- 第44回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」最終候補作品(五十音順、敬称略)
※情報は講談社のWEBサイトより引用。
(
https://www.kodansha.co.jp/upload/pr.kodansha.co.jp/files/pdf/2022/20220531_nonfiction5books.pdf )
インベカヲリ★『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』(KADOKAWA)
鈴木忠平『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』(文藝春秋)
高梨ゆき子『命のクルーズ』(講談社)
中日新聞編集局 秦融『冤罪をほどく “供述弱者”とは誰か』(風媒社)
常井健一『おもちゃ 河合案里との対話』(文藝春秋)
藤岡雅『保身 積水ハウス、クーデターの深層』(KADOKAWA)
なぜ、小物ばかりトップになるのか? 役職が上の者ほど責任から逃げるのか?日本にはいまだ経営トップの不正を監視し、正す機能がない。実力派会長の突然の辞任。それは、社長の「保身」によるクーデターだった!
積水ハウスでは2018年、地面師事件の全容解明を進める会長が失脚した。背景には、事件への社長責任が明記された「調査報告書」の存在があった。責任を問われた社長が、会長を返り討ちにしたのだ。11年のオリンパス事件以降、東芝、日産自動車、関西電力、東京電力とトップ企業の不祥事が繰り返されている。
下には厳しく、上には優しい、名ばかりのコンプライアンスはなぜ蔓延したのか?積水ハウス事件から、日本企業の腐敗構造までも暴く経済ルポ!
【目次】
まえがき
序 章 解任――クーデター政権、樹立す
第一章 事件――推進圧力は社長がもたらした
第二章 不正――現場は地面師に引き寄せられた
第三章 予兆――カリスマ君臨と腹心の野望が交錯する
第四章 暗闘――副社長、策動す
第五章 隠蔽――絶対権力の道へ
第六章 結集――公器としての会社を問う
第七章 総会――企業倫理、漂流す
終 章 腐敗――立憲主義を取り戻せるか?
あとがき
主要参考文献
【著者プロフィール】
藤岡雅
1975年4月6日、福岡県生まれ。拓殖大学政治経済学部卒。編集プロダクションを経て、2005年12月より講談社『週刊現代』記者。福岡のいじめ自殺事件やキヤノンを巡る巨額脱税事件、偽装請負問題などを取材。リーマンショックを機にマクロ経済やマーケット、企業研究などの分野に活動を広げ、東芝の粉飾決算の事件などを担当した。現在は『週刊現代』のほかに「現代ビジネス」、「JBpress」などに記事を寄稿している。
【書誌情報】
書名:保身 積水ハウス、クーデターの深層
著者名:藤岡雅
発売:2021年5月28日(金) 電子書籍も配信中
定価:2090円(本体1900円+税)
体裁:四六判/上製
頁数:368頁
発行:株式会社KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322004000016/
★文芸情報サイト「カドブン」にて【大西康之氏の書評を公開中】
https://kadobun.jp/reviews/fz3b4zvpujkk.html
- 『家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像』について
国家に親代わりを求めた男。法廷で無期懲役に万歳三唱をし、殺人犯なのに刑務所で生存権を主張し続ける犯人・小島一朗。誰も踏み込まなかったその内面に、異端の写真家が迫る。全真相解明、驚愕の事件ルポ!
犯人はいったい何者なのか?
2008年以降の無差別殺人事件の犯人は前科前歴なし、両親は揃っており、貧困家庭でもなく友人関係に問題もない、「普通」の者が多い。だが、「死刑になるため」「刑務所に入るため」と彼らは犯行に及ぶ。被写体に迫る手法をもって取材を開始し、約3年にわたる取材で理解不能な動機、思考を浮き彫りにする。無差別殺人犯の話を聞いて、聞いて、聞き続けて見えてきたものとは――。
【目次】
序章 鞘─―刑務所に入る夢を叶えた男
第一章 心――写真家が人殺しに興味を持つ理由
第二章 偏―─歩み寄る難しさ
第三章 記―─「むしゃくしゃしてやった、誰でもよかった」の真相
第四章 凶―─餓死することを止め、生きる選択をした
第五章 会―─アクリル板越しの作り笑顔
第六章 家―─浮かび上がるいい子
第七章 迷―─食い違う家族の言い分
第八章 裁―─真実が語られない虚無な裁判
第九章 答――刑務所でしか手に入らないもの
第十章 辿―─犯行時のシミュレーションから感じること
最終章 刑―─自傷行為を通して得られる愛
あとがき
主要参考文献一覧
【著者プロフィール】
インベ カヲリ★
1980年、東京都生まれ。写真家。短大卒業後、独学で写真を始める。編集プロダクション、映像制作会社勤務等を経て2006年よりフリーとして活動。13年に出版の『やっぱ月帰るわ、私。』で第39回木村伊兵衛写真賞最終候補に。18年第43回伊奈信男賞を受賞、19年日本写真協会賞新人賞を受賞。ライターとしても活動しており、「新潮45」などに事件ルポを寄稿してきた。今回、新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の動機に関心を抱き、被写体に迫る手法をもって取材を開始し、約3年をかけて本書を上梓した。写真集に『理想の猫じゃない』『ふあふあの隙間』(①②③のシリーズ)、著書に『ノーモア立川明日香』(共著)、エッセイ集『私の顔は誰も知らない』(2022年5月発売予定)など。
【書誌情報】
書名:家族不適応殺 新幹線無差別殺傷犯、小島一朗の実像
著者名:インベカヲリ★
発売:2021年9月29日(水) 電子書籍も配信中
定価:1870円(本体1700円+税)
体裁:四六判/並製
頁数:296頁
発行:株式会社KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322008000737/
★文芸情報サイト「カドブン」にて【信田さよ子氏の書評を公開中】
https://kadobun.jp/reviews/entry-42486.html