株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:松原眞樹)は、2021年3月12日(金)に、知念実希人(ちねん みきと)さんの最新小説『傷痕のメッセージ』を発売いたしました。
知念さんは3年連続で本屋大賞にノミネートされ『仮面病棟』 が映画化されるなど、現在、最も読者に支持されるミステリー作家です。その知念さんの約1年ぶりの単行本となる最新作は、謎の暗号と迷宮入り殺人事件、そして現在の殺人事件が絡み合う、一気読み必至 のノンストップ・ミステリーです。
本作は、読書メーター 読みたい本ランキング単行本部門で月間1位(集計期間:2020年12月22日~2021年1月20日)も獲得。発売前から期待度の高さのうかがえる作品です!
- 知られざる病理医の仕事と作家の創作の秘密に迫る――知念実希人×市原真(病理医ヤンデル)『傷痕のメッセージ』刊行記念対談
『傷痕のメッセージ』の発売を記念して、本作の著者で、医師として働きながら意欲作を精力的に発表し続ける知念実希人さんと、病理医として働きながら、医療についてのわかりやすくも深い解説やエッセイを発信する市原真さんの御二人が、病理医を主人公とする本作の魅力を、文芸WEBマガジン「カドブン」(
https://kadobun.jp/ )にて語り合いました。対談記事の一部をご紹介いたします。
「胃の中の文字」に世界で一番驚いた市原:今日は対談相手に選んでいただき光栄です。Twitterで交流させていただいていますが、直接お話しするのは初めてですね。
僕は知念先生の大ファンなんです。最新刊の『傷痕のメッセージ』を拝読してまず思ったのは知念先生のワールドが炸裂していること。僕が病理診断医であり、登場人物の一部が病理を専門にしていることを超えて、物語が大変に面白かったです。1人の読者としてまずそのことにお礼を申し上げます。
知念:ありがとうございます。そう言っていただけてホッとしました。病理の専門家に読んでもらうということで、緊張して今日の対談に臨んだので。内科なら、僕の専門なので怖くはないんですが、ほかの科の先生に「ここは違う」と言われるのがすごく怖くて(笑)。楽しんでいただいたようで本当に嬉しいです。
市原:『傷痕のメッセージ』にはご遺体の胃に刻まれた文字、という驚愕の設定がありますよね。発売前のいま、あのくだりを読んで世界で一番震え上がったのは僕ではないかと思います。すでにお読みになっている数多くの書店員の方々や、KADOKAWAの関係者一同も、さぞかし「うわー!」と思われたと思いますが、みなさんとは段違いの衝撃を受けたと思います。
病理解剖は神聖な行為です。緊張しながらご遺体を外から見て、傷が残らないようにきれいに開いて──作中の知念先生の描写は完璧です──そこから臓器を一つひとつ取り出し、3、4時間かけてじっくり検索します。心臓、肺……何があったのか、なぜ亡くなったのかを問い続けて、最後の最後に胃を開きます。
外から見てなんともない。これを切って終わりだと思って胃をシャーッと切って展開して、そこにパッと文字が出てきたら言葉を失います。失禁しますよほんとに。
そもそも作中に描かれている様子からすると、「典型的な胃潰瘍があるような場所じゃない」んですよね……。
知念:その通りです。さすがですね。
市原:なぜ? で頭がいっぱいになるでしょうね。そして、表面を軽く洗う。するとそこに壁画のように文字が出てくる。たとえると、ピラミッドの新しい部屋を開けて入ったら壁に文字が書いてあるようなものです。しかもそれがひらがなだというような。それくらいの衝撃があるわけですよ。
知念:実はそのシーンを思いついたところから『傷痕のメッセージ』が始まったんです。病理で何が一番驚くかなと思ったら、内臓に何かが書いてあったということじゃないか。それも消化管の中に書いてあるのが一番衝撃じゃないかなと。
市原:しかもこの設定はあとあとまで効いてくる。胃の中に(なんらかの手段で)残された文字が読みやすいわけないんですよね……技術的に。このことが、古今東西のミステリのツッコミどころである「ダイイングメッセージをなんでそんなにわかりにくく書くんだ!」に対する強烈なカウンターパンチになっている。まさに豪腕。同じことを考えつく人はいないでしょう。
知念:そう言っていただけると作者冥利に尽きます。
対談全文は、文芸WEBマガジン「カドブン」にて、お楽しみください!
https://kadobun.jp/feature/talks/14lt7dnz3yyo.html
- 息をのむ展開と瞠目のラスト!医療×警察ミステリの新地平‼『傷痕のメッセージ』3月12日(金)発売!
胃に遺された暗号と迷宮入り事件。二つの謎に、千早と紫織の病理医コンビが挑む!
【内容紹介】
「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい――」医師の千早が、父の遺言に従い遺体を解剖すると胃の内壁に暗号が見つかる。父が28年前、連続殺人事件の犯人を追うために警察をやめていたことを知った千早は、病理医の友人・紫織と協力して胃に刻まれた暗号を読み解こうとする――。時を同じくして28年前の事件と酷似した殺人事件が発生。過去と現在で絡み合う謎を千早と紫織の医師コンビが解き明かす!
【書誌情報】
『傷痕のメッセージ』
著者:知念実希人
発売:2021年3月12日(金)※電子書籍同日配信予定
定価: 1,540円(本体1,400円+税)
装丁:長﨑綾(next door design)
頁数:352頁
体裁:四六判変形
発行:株式会社KADOKAWA
ISBN:978-4-04-109409-9
詳細ページ:
https://www.kadokawa.co.jp/product/322001000193/
★『傷痕のメッセージ』初回限定版には『傷痕のメッセージ』と『祈りのカルテ』がつながるスピンオフ短編がついてくる!
- 【知念実希人好評既刊】遂に文庫化!5つの謎に涙が止まらない!『祈りのカルテ』角川文庫
『祈りのカルテ』知念実希人 角川文庫
大学病院の研修医・諏訪野良太が出会う5人の患者。退院日にこだわる女性、胃癌の手術を拒否する老人、切ない嘘をつく少女――。患者の心に耳を傾け、懸命に謎を解き明かす新米医師の姿が心揺さぶる、連作医療ミステリ!
https://www.kadokawa.co.jp/product/322009000322/
撮影:佐山順丸
知念 実希人(ちねん・みきと)
1978年、沖縄県生まれ。東京慈恵会医科大学卒業。内科医。2004年から医師として勤務。11年、第4回島田荘司選ばらのまち福山ミステリー文学新人賞を『レゾン・デートル』で受賞。12年、同作を改題した『誰がための刃 レゾンデートル』で作家デビュー。新潮文庫nexで刊行する「天久鷹央」シリーズが人気を博し、15年、『仮面病棟』が啓文堂書店文庫大賞を受賞。18年より『崩れる脳を抱きしめて』『ひとつむぎの手』『ムゲンのi』で本屋大賞に3年連続ノミネート。他の主なシリーズ・作品に「神酒クリニック」シリーズ、『祈りのカルテ』『十字架のカルテ』など。