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株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛)は、2024年11月27日(水)に稲田豊史氏による最新刊『アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語』を発売しました。
稲田豊史氏は著作『映画を早送りで観る人たち』(光文社新書)が新書大賞2023第2位にランクイン、その後も『ポテトチップスと日本人』(朝日新書)、『このドキュメンタリーはフィクションです』(光文社)など精力的に執筆活動を続けるライターです。最新刊となる本書は埼玉県八潮市で創業70周年を超える老舗ポテトチップメーカー「菊水堂」をテーマとして、同社の創業者・岩井清吉の人生に迫る内容です。いまや国民食と呼んで差し支えないほどに市場が成長したポテトチップス業界において、小さいながら今も大きな話題となる同社の哲学にも迫ります。戦後大衆史を通して描く国民食誕生の物語です。
(以下、序章「蟻の目」より)
令和に生きる私たちは、あらゆる企業間競争において、「規模こそ正義」の洗礼を受けてきた。規模はスケールメリットを生み、物の値段を安くし、効率化を促進し、経済を発展させた。結果、小さな存在は小さな存在のままでは存続できなくなった。小は大に呑み込まれ、その大も、より大きな大に呑み込まれる。資本主義の行き着いた先だ。
しかし、小さな存在が小さな存在のまま存続する方法があるということを、岩井清吉は生涯をかけて証明した。壊滅的敗戦から経済大国に成り上がったものの、そこから再び脱落しつつある現在の日本で、清吉の「破天荒な」生き様に視線を向けることには、何かしらの意味を見いだせるものと信じる。
なお、「破天荒」は誤用の多い言葉で、本来の意味は「誰も成し得なかったことを初めてすること」だが、現代においては「豪快で大胆、奔放で型破り」の意味で使用する人があまりにも多いため、それはそれで一定の市民権を得てしまっている。そのような誤解も孕んだイメージの揺らぎ、辞書の正しい定義を越えて人々に与える印象の幅広さも含めて、「破天荒」は岩井清吉という人物に相応わしい形容であるように思う。
地を這う蟻の目から見た、日本人の国民食たるポテトチップスの誕生譚。手触り感のある戦後大衆史。正史に綴られざる口伝の秘話。そして、ひとりの破天荒な菓子職人の物語に、しばしお付き合いいただきたい。
【目次】
序章 蟻の目
第1章 馬山村
第2章 東京
第3章 チップ屋
第4章 巨人
第5章 ゲリラ
終章 一時
※できたてポテトチップの菊水堂 https://kikusui-do.jp/
書名:アゲもん 破天荒ポテトチップ職人・岩井清吉物語
著者名:稲田豊史
発売日:2024年11月27日(水)※電子書籍同日配信予定
定価:1,980円(本体1,800円+税)
ISBN:978 4041143681
四六並製単行本
248ページ
発行:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/product/322307001254/
https://www.amazon.co.jp/dp/4041143683
稲田豊史(いなだ・とよし)
1974年愛知県生まれ。ライター、コラムニスト、編集者。横浜国立大学経済学部卒業後、映画配給会社、出版社を経て独立。著書に『セーラームーン世代の社会論』(すばる舎リンケージ)、『ぼくたちの離婚』(角川新書)、『「こち亀」社会論 超一級の文化史料を読み解く』(イースト・プレス)、『映画を早送りで観る人たち ファスト映画・ネタバレ─コンテンツ消費の現在形』(光文社新書)、『ポテトチップスと日本人 人生に寄り添う国民食の誕生』(朝日新書)、『このドキュメンタリーはフィクションです』(光文社)などがある。