他部門との連携を密に、
メディアミックスの
源泉を紡ぐ。

06 16

HANAKI YOSHIDA

由田花希 (2019年新卒入社)

出版事業グループ 電撃統括部 電撃メディアワークス編集部 電撃文庫編集部
2019年入社/文学部英文学コース卒

PROFILE:子どもの頃から文字と物語に埋もれて生きていた。「書籍だけでなく、様々な可能性のある会社がいい」と、KADOKAWAを選択。現在、 電撃メディアワークス編集部に所属しライトノベル編集者に。著者と二人三脚で、一人でも多くの読者に物語を届けるために日々奔走中。

可能性とチャンスは
多いに越したことはない!

文字が並んでいると、ついつい目で追いかけてしまう。幼少期から活字中毒だったのだと思います。小学校高学年になると、本ばかり読んで勉強しない私を見かねた親に、全ての小説を段ボールに封印されていた時期もありました。でも我慢できず、夜中に隠れて読んだり、家に読むものがなくなると、駅にあるフリーペーパーのコラム記事だけを繰り返し読んだり……。ずっとそんな感じだったので、編集者を目指したのも自然なことでしたが、就職活動をするにあたっては「一番の “好き” を仕事にする」ことに迷いもありました。うまくいかない時に落ち込みすぎてしまうかな、とか、本が嫌いになってしまったらどうしよう、とか悶々と考えてしまって……。なのでKADOKAWAの、出版社では随一と言えるくらい沢山の職種があるところにはとても惹かれました。書籍の編集職以外にも、色々な距離感や方法で物語と関わる選択肢があることに妙な安心感を覚えて、KADOKAWAに入社しました。
今は電撃メディアワークス編集部で、ライトノベルの編集を担当しています。0から1を紡ぐ著者の、一番近くで仕事ができるのはとても楽しいです。電撃メディアワークス編集部の強みは「電撃大賞」という日本最大級の公募新人賞を主催していること。今年(第28回)の小説部門の応募総数は4411作品にのぼりました。相当な数の原稿を読むので大変ですが、毎年あたらしい才能と出会える稀有な環境です。受賞者とはデビュー作からの二人三脚になるので、著者と編集者の距離感も比較的近く、作品に根幹から関わる機会に恵まれた編集部だと思います。

雑談から生まれる、
化学反応。

KADOKAWAの強みはやはり、編集部のすぐ近くにコミックス、アニメ、イベントなどの部署があるところ。同僚との何気ない雑談からメディアミックスがポンっと生まれることも何度かありました。たとえば今年、担当作の『声優ラジオのウラオモテ』で電撃文庫では初の「朗読劇」を開催しますが、これはイベント部の同僚との雑談が発端でした。「朗読劇の原作を探していて」という彼女に、親和性がありそうな本作を勧めたところ、次の週には具体的なミーティングに。そこから1年以上機会を窺っていたのですが、作品PVの担当声優さんが朗読劇にも出演して下さることになり、原作のPRとしても良い形でプロジェクトを動かすことができました。まだ決め手に欠けるようなファジーな状態であっても、まずは気軽に声をかけられる。そのハードルの低さが、タイミングを逃さずに動き続ける原動力になっているのかもしれません。

誰もが、
“次の”面白いこと・
楽しいことを探している。

メディアミックスを含め、「何か新しいこと・面白いことはないか?」と社内のみんなが貪欲です。書籍の編集は個人プレーが主ですが、「こういうことやりたい」と自分から発信すれば、相談に乗ってくれる人や、力を貸してくれる人に出会えることも。自分の考えや希望を日頃からオープンにすることは、ここでの仕事を楽しむ一つの方法かもしれません。またKADOKAWAは、“人”だけでなく“会社”としても新しいことに意欲的。コロナ以前から希望者にはiPadが配られ、編集業務のデジタル化が少しずつ進められていました。今では編集業務の大半が在宅でも完結できるようになっています。イメージしていた編集者の働き方とは少し違いますが、自分の周囲だけを見ても、ライフスタイルや人生設計は様々なので、選択肢が増えるのは喜ばしいことです。
そんなKADOKAWAで私が次にチャレンジしたいのは、ライトノベルの定義をもっと広げていくこと。実は私自身、もともとは社会派小説や海外文学が好きで、入社するまでライトノベルレーベルの作品は一冊も読んだことがありませんでした。でも「『青春ブタ野郎』シリーズ」を読んで、こんなにポップで緻密なジュブナイルSFが! と衝撃を受け、『86―エイティシックス―』を読んで、こんなにも主人公の恋路を応援したくなるディストピア小説が! と「萌え」の感情を覚え、そしてそれらがライトノベルとして読者に愛されてきたことを知りました。私も自分が面白いと思うものを、ライトノベルの枠組みにねじこみたい。ねじこんで、ともすれば枠ごとぐいっと広げたい、というのが長期的な目標です。
初めて一人で担当した第27回電撃小説大賞受賞作『ユア・フォルマ』も、入社前だったら「これがライトノベル?」と思ったような硬派なクライムSF。著者の菊石さんと二人で呻きながら、硬派な世界観はそのままに、エンタメとして愛されるように腐心しました。まだ足りないことの方が多いですが、既存のライトノベル読者と、今までの私のようにライトノベルと出会い損ねてきた人、両方に響く作品を著者の皆さんと手がけていけたらと思っています。

※記事内容は、取材当時(2021年12月)のものです。

WORKS 担当制作物

  • 『ユア・フォルマ』

    第27回電撃小説大賞《大賞》受賞作。孤独な天才捜査官。初めての「壊れない」相棒は、ロボットだった。相性最凶で最強の凸凹バディが送る、哀切怒涛のSFクライムドラマ!

  • 『声優ラジオのウラオモテ』

    第26回電撃小説大賞《大賞》受賞作。性格正反対・相性最悪のクラスメイトと、声優ラジオのパーソナリティをやることに!? オモテは仲良し、ウラでは修羅場。ギャルと地味子の青春声優エンタテインメント!

  • 『魔女の娘』

    著名な魔女を母に持ちながら、魔法が使えない「失くし者」の少女・帆香。「魔法レンタル屋」で魔法を借りて、憧れの魔法学園へ入学するが・・・・・・。魔法社会のはぐれものが出会い、紡ぐ。鋭くあたたかい学園ファンタジー。