漫画に励まされ、
勇気をもらってきた人生。
木造住宅2階にある子供部屋だけ異常に質量が高く、家が傾くんじゃないかって思うほどでした(笑) 兄弟揃っての漫画好きで、どっちの部屋に漫画が多いか競うようにコミックを買い漁っていたんです。お昼代として渡されたお小遣いも、すべて漫画につぎ込んでしまっていました。それからずっと僕の人生は漫画とともにある、という感じです。高校で入った陸上部では、漫画の台詞に励まされながらしんどい練習を乗り越え、就活中は提出しなければならないエントリーシートから現実逃避しようと漫画を開いていました。コミック編集者は、学生時代からの僕の夢でした。
現在、月刊漫画誌『ヤングエース』の編集者として、『文豪ストレイドッグス』のスピンオフ作品である『文豪ストレイドッグス わん!』や『文豪ストレイドッグス外伝』の他、論理的にオシャレになる方法がわかる『服を着るならこんなふうに』、鎌倉時代末期を舞台にした歴史モノ『アンゴルモア 元寇合戦記 博多編』、CLAMP先生が手がける『東京BABYLON』の新装版シリーズなどを担当しています。
緻密でロジカルな戦略と、
理屈を超越した発想で。
学生時代は、“編集の世界はセンスだけがものを言う”と思っていたのですが、実は意外とロジカルで戦略的。作家さんは、理屈を超越するような面白さや感動の詰まった作品を魂を削りながら生み出してくれます。だから編集者は、その魅力溢れる作品を確実に一人でも多くの読者に届ける責任がある。“勘”だけを頼りに仕事をするわけにはいかないんです。もちろん理屈に縛られて自由な発想を制限してしまってはいけませんが、論理と感性の両輪で、より確かな勝算を立てることは、編集者の責任だと思っています。その意味で、入社後の3年間、僕は営業企画局でマーケット分析や数値分析を行っていましたが、あのときの経験は今も大いに役立っていますね。
編集者としての喜びはいろいろありますが、なかでもデビュー作をご一緒させていただいた新人作家さんが、人気作家への階段を駆け上ってくれたときには特別な気持ちになります。単に商業デビューするだけ、連載をスタートさせるだけではなく、その先にある成功を作家さんには掴んで欲しいといつも考えています。出会った当初、節約生活を送りながら漫画を描いていた作家さんが、いつしかゆとりある暮らしを叶えてくれたときなどは本当にうれしいし、編集者冥利に尽きるなぁと感じます。
学び合い、
刺激し合える
仲間がいる場所。
KADOKAWAには、若手を育てよう・互いに学び合おうという風土があります。例えば、私がいるヤングエース編集部ではSlack(社内ビジネスチャット)を通じ、編集者同士で担当作品のネームを見せ合い、ディスカッション・アドバイスをしたり、編集長が定期的に漫画講座を開催してくれたりと、学びの機会が豊富にあります。また、編集部員間の距離もとても近い。だから、自分の判断に自信が持てないときには同僚がいつでも相談に乗ってくれます。自分よりずっとたくさんの漫画を読んできた新人もいて、逆にアドバイスを求めることもありますね。本当にこの仕事に年次は関係ないんです。ヤングエースUPで連載され、大ヒット作となった『光が死んだ夏』も入社4年目の後輩が担当しています。ホント、負けてられません! 僕も、KADOKAWAが持つ強みも活かして、アニメ化、そして海外進出をも果たせるような作品を新人作家さんと一緒に一つでも多く生み出していけたらと思っています。
※記事内容は、取材当時(2022年11月)のものです。
WORKS 担当制作物
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『CLAMP PREMIUM COLLECTION
東京BABYLON』1990年から1993年にかけて連載されたCLAMPの初期代表作が、全巻描き下ろしカバーの新装版で登場!
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『アンゴルモア 元寇合戦記 博多編』
大陸を支配するモンゴルが遂に日本へと侵攻してきた——。「元寇」を斬新な視点で描く歴史ロマン。『アンゴルモア 元寇合戦記』の続編『アンゴルモア 元寇合戦記 博多編』が『ComicWalker』にて連載中。
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『文豪ストレイドッグス わん!』
大人気作品『文豪ストレイドッグス』の和やかな日常をお届け。武装探偵社やマフィアのキャラクターがミニサイズに!? 可愛い敦達による、本編とはひと味違ったほんわかギャグ漫画!
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『クラス最安値で売られた俺は、実は最強パラメーター』
異世界転生×ロボットファンタジーという異色のコラボ作。クラス最安値の奴隷から、世界を揺るがす最強の英雄となる新生異世界メカバトルエンタメ開幕!