-
能登谷 貢悦
グループ経営管理局
コーポレートアカウンティング部
連結統括課4歳の女の子のパパ。2019年12月の2週間と、2020年12月の約1ヶ月間、有給休暇を充当し育休を取得。HRプロジェクト子育て支援メンバーの一人で、男性の育休取得に対する風土・制度改善を担当。
-
五味 朋哉
グループ人事局付
(株式会社KADOKAWA Connected出向)1歳半の女の子のパパ。2021年6月〜2022年3月までの約9ヶ月間という男性では珍しい長期間の育休を取得。HRプロジェクト子育て支援メンバーの一人。現在、第二子誕生につき2回目の育休取得中!
-
泉谷 智朗
グループ人事局
人事部
人事課 課長1歳の男の子のパパ。2022年4月に約10日間、8月に約1ヶ月と2回に分けて育休を取得。家事は苦手だが、便利グッズをうまく活用中。
上司や同僚の理解や協力が
あったからこその育休取得。
Q.1
育休取得は気まずくなかった?
実際の取得期間や周囲の反応、取得の決め手は?
五味:僕は2021年6月、出産の直後から年度末の3月まで、およそ9ヶ月間休暇を取りました。はじめての出産・育児で、不安やわからないことがたくさんあって、当時は育休制度としてはまだ分割取得ができなかったので、保険として長めに取りました。出産は、母親の身体的負担が大きい。父親側は身体を痛めたりすることもない状況で、出産から戻ってきた妻に育児を全部任せて自分は仕事をする、というのは何か違うと思って。父親が育児をしっかり頑張らないでどうするんだ、と思ったのが決め手でした。
能登谷:五味さんは育休の期間を延長されたんですよね。
五味:取得期間は人それぞれ、ご家庭によってそれぞれだと思うんですよ。長いことが必ずしも正義じゃない。父親が側にいてほしいと思う奥さんもいれば、私だけで回せるからむしろ仕事に行ってほしい、という奥さんもいると思う。そこは家庭での話し合いをしっかりして決めていくというのが重要だと思います。お二人は、育休取得期間はどういう視点で決めましたか?
能登谷:僕の場合、出産の時ちょうど年末年始をはさんでいたので、冬休みを早めに取る感じで2週間くらい休みました。仕事が始まってからは、妻の両親が近くにいたので日中は面倒を見てくれて、僕自身は作りおきの食事を土日にまとめて作って平日は早く帰るという生活でした。もともと出産の1年後にハワイで1ヶ月過ごそう、と決めていたので、娘が11ヶ月の頃に1ヶ月休暇を取りハワイでコンドミニアムを借りてゆっくり過ごしました。
五味:ご家族みんなでハワイへ?
能登谷:家族3人で行きました。
五味:おお~すごい! ハワイでは仕事もしつつですか?
能登谷:そこは休みました。育休を取るか悩み、有給を充てました。
泉谷:なぜハワイに行かれたんですか?
能登谷:子どもが生まれる前から妻がハワイに行きたいと言っていて。そんなに長い期間で行けることってなかなかないじゃないですか。子どもの幼稚園が始まったら行事とかもあるし。
五味:いいですね! 仕事も育児も楽しんでいる様子が見えて、うらやましいなって感じます。
能登谷:上司や同僚の理解や協力があったので、育休が取りやすい環境でした。泉谷さんは?
泉谷:産後は妻が大変と友人からも聞いていたので、少しでも取るべきと思っていました。ただ、本当に取るべきだった産後すぐには取らずに、産後1ヶ月半空けてから取ったので、妻からは「タイミングが遅すぎる!」と言われてしまいましたね。本当に周りは好意的な方ばかりで育休取得を後押ししてくれて、取りたいタイミングで取らせてもらったのは良かったです。上司の理解と部署の雰囲気は大切だなと感じました。
寝不足の日々・・・。それでも
うれしかったこと、
楽しかったことが多かった。
Q.2
男性育休のなにが大変?
なにが良かった?
泉谷:最初の頃、夜2時間おきくらいにミルクをあげるのは大変でした。あと、思い切ってドラム式洗濯機やお掃除ロボ、食洗機とかを買ったのは良かったですね。非常に楽できました。
五味:時短家電ですね!
泉谷:これも先人の知恵で、出費は大きいけど絶対にあったほうが良いと友人から聞いていたので。後先の心と身体のことを考えたら本当に買って良かったです。
五味:そうした工夫で少しずつ時間の余裕を作っていかないと、やっぱり育児と仕事の両立は本当に難しいと感じます。最近は共働きの世帯も多いですし、奥さんも仕事をしながらという状況だと、本当に1分1秒を捻出するのが難しいですよね。英断ですね!
能登谷:我が家は家事の分担を決めていないので、家事が好きな僕が率先してやっています。
五味:おお~すごい! 奥さんも働いているんですか?
能登谷:はい、両方在宅勤務です。在宅はありがたいですね。平日は朝から娘のお弁当をつくっていますよ。
五味:うちはどちらかが病気で倒れてしまった時にできないタスクが出てくると困るので、何でもお互いができるよう1日おきに交代しながらやっています。昨日は私がお風呂に子どもを入れたから今日はあなたね、とか。割と円満に育児ができています。
能登谷:歯磨きは? この前Slack(社内コミュニケーションツール)で盛り上がっていましたよね。
五味:歯磨きも交代でやっています。Slackに#ikuji(*)という育児をしている方は誰でも入れるオープンチャンネルがあります。そこで僕が「歯磨きの仕方どうしたらいいですか? 全然子どもが口を開けてくれません」と相談したらグループ内のいろんな方からアドバイスをもらえて。「ご褒美として歯磨き用のキシリトールみたいなタブレットをあげる」というのを実際に試したらいい感じに歯磨きをしてくれるようになりました。皆さんの知恵を借りられて本当に良かったなと思っています。泉谷さんは、分担はどうしていますか?
(*)KADOKAWAではSlackを活用して、育児中社員の間での情報交換も盛ん。育児関連の制度活用方法が情報発信されたり、育児についてアドバイスし合ったりしています。
泉谷:私は料理だけは苦手でやっていないのですが、それ以外は気づいたほうがやる感じです。お風呂は比較的入れていたり、そんなに分担は意識しないでやっていますね。役割を決めるのも、決めないのもそれぞれ方法のひとつ。うちは決めない方法が合っていたかなと。
五味:そこも奥さんとどうコミュニケーションをとるか、というのが重要ですよね。僕は大変なこともいっぱいありましたけど、やっぱりうれしかったことのほうが多かったなと、本気で思っています。正直に言うと、出産とか育児とか、結婚して子どもができるまでは具体的な関心がなかったんです。でも実際に子どもが生まれてみると、子どもの成長も含めて、いろんなイベントが育児とともにやってくるんだなというのを感じて、それが自分の人生経験上とっても有意義なものになっているなという実感があるんですよね。仕事ももちろん大切なものだと思っていて、どっちも両立させていけたら本当に理想の生活ができるんじゃないかなって思っています。
能登谷:育児で大変だと思ったことは、そこまでないかな?という感覚ですね。
五味:それは育児が楽しかったから?
能登谷:楽しいほうがたぶん多かったんでしょうね。家事をするのがもともと好きで、その延長線上に育児があると思っていて。
五味:能登谷さんは相当すごい。たぶん世の中のお父さんのほとんどは、家事はちょっと苦手って方が多い気がします。僕ももともとは家事もへたくそだし、そんなに積極的にやっていたわけでもないけど、育児をやっているといろんな家庭内での発見がたくさんあったりして、案外面白かった。嫌だな、面倒だな、苦手だなと思っている人も、一度は育児っていう機会を使って家庭と向き合って、やってみるといいんじゃないかなと思いますね。
泉谷:私はもともと子どもが苦手だったんですけど、自分の子どもはやっぱりかわいいな、遊ぶのも楽しいなって思って。本当にあっという間に時間が過ぎていて、それはすごく良かったなと思います。勉強にもなりましたし、純粋に楽しい時間を過ごせているなと感じることができたのは良かったですね。
五味:わかります! 僕も、もともと子どもが好きとかではなかったけど、自分の子どもが生まれてから見方が変わったし、ほかの子どもたちもいろんなお父さんお母さんに育てられて頑張って生きているんだなって思うとみんなかわいく見えてくるし。けっこう価値観が変わりましたね。
もちろん仕事のキャリアも大切。
でも、今しかない
子どもの成長を
自分の目で見ていきたい。
Q.3
社内アンケートでは
「男性育休を取得したかったが
できなかった」が20%弱・・・。
その後のキャリアに
不安はなかった?
育児休暇を取得したかったが、
取得できなかった主な理由
(複数回答可、選択が多かった順)
泉谷:私は期間が短かったのでキャリアへの影響は感じなかったですね。
能登谷:僕も短かったので影響はないかな。キャリアも大切だけど、今しかない子どもの成長を自分の目でちゃんと見たいと思っています。
五味:本当に、今しかないという表情がたくさんあるので、そこは貴重だから逃したくないですね。育休を取る時、キャリアや収入が最初不安でしたが、実際取ってみたら子どもと過ごす時間はそれ以上の価値があったと感じました。僕の所属部署では欠員や人の入れ替わりを意識した組織作りをしていて、育休を長期間取る時も比較的スムーズに誰か別の方が入って仕事をするというのができるようになっていました。しかし、社内アンケートでは「自分にしかできない仕事があるから」といった属人化した業務が理由で取得できなかった方もいらっしゃる。そこは今後、会社としてもしっかり改善・仕組み作りをしていかないといけないですよね
一人ひとりにあった
育休の取り方がある。
もっともっと選択肢を
増やしていけたらいい。
Q.4
KADOKAWAでの育児と
仕事の両立。
より良い未来のため、
今後の課題は?
泉谷:こうあるべきだとか方針を固め過ぎず、が育児は大切なのかなと最近は思っています。こうしたほうがよい、ああしたほうがよいといった本に書いてあることを鵜呑みするのではなく、自分の家庭なりのやり方を見つけるのがいいのかなと思いますね。
五味:やっぱり正解みたいなのがあるわけじゃないですもんね。ご家庭によっても、子どもによっても、関わっている仕事によっても違う。いろんな選択肢があるのはとても重要だと思いますし、家庭ごとに異なる選択肢をバックアップしてくれるような懐の広い職場環境や制度が会社に整っているとすごく助かる。
泉谷:育休を分割取得できるようになったのも、選択肢を広げてくれましたよね。
五味:休暇取得や期間の柔軟性はもっと高くていいと思う。僕もそうでしたけど、はじめての時ってどのくらい大変なのか、どのくらい取ったらいいのかとか本当にわからないんですよね。だから、特にはじめて取る方に対しては柔軟に休暇が取れるようにしてあげたら今以上に取得率もあがる気がします。とはいえ、制度としてはKADOKAWAって充実しているんですよね。制度は整っているので、あとは自身の職場と折り合いをどうつけるか。例えば欠員対応ができるかわからないなどは個人の課題というより組織の課題だから、そこは引き続き組織として対応できる仕組み作りを進めていってほしいと思います。
能登谷:育休取りたいし、子育てやりたいんだけど、やり方がわからない、って人もいるじゃないですか。そこを手助けするようなセミナー制度もあれば、男性の育児の参加率、普及率が増えるんだろうなって思います。
五味:そういう啓蒙プログラムだったり、Slackで育休が取れることを告知したりで、だいぶ空気が変わってくると思います。そこはぜひとも今後やっていきたいですよね。育児って継続なんですよね、ずっと続くもの。1週間2週間休んで協力して、はいお終いとかではない。だから会社の制度や環境を活用しながら、それぞれの皆さんにあった育休の取り方や仕事との両立の仕方を見つけ出していけたらいい。おそらく世の中の多くの会社と比較してKADOKAWAは、育児のやり方や育児と仕事の両立の仕方の選択肢は広いと思いますから、それを有効活用しない手はないと思います。
※本記事はKADOKAWAグループ社内報「K-net」#ハタケンプロジェクトにて掲載された内容です(2023年12月時点)