2019年に大ヒットを記録した又吉直樹初となる長編小説が、来る4月21日に文庫版として発売されます。この作品で又吉は、「何者かになることを夢見た人間の青春期と痛恨の 出来事、そして痛みを抱えたまま何者にもなれずに迎えた 20 年後」を描いています。人間の持つどうしようもない愚かさを、リアルかつ痛烈に描写しながらなお、人はそれらを 抱えながら「生きていっていいんだ」という優しさを湛えた作品となっています。
今回、「文庫は単行本の廉価版ではあってはならない」という又吉直樹の信念のもと、 文庫化にあたって以下3点の大きな仕掛け、変更を行っています。
❶カバーを変更。現代美術家・西川美穂氏と『火花』以来、7年ぶりのタッグ再結成。
❷単行本では描かれなかったエピソード(第3章「影島道生」内、約1万2000字)の加筆を行う
❸ミュージシャン佐藤千亜妃と『人間』をテーマに楽曲を作成するコラボ動画を配信
❸は、文庫『人間』を起点にスタートする新たな作品作りとなり、具体的には、又吉の 敬愛するミュージシャン佐藤千亜妃さんに「『人間』をテーマに歌詞 / 又吉、作曲・歌唱 / 佐藤で楽曲制作」を依頼しご快諾いただきました。その完成披露までの道のりを現在進行形で、文庫発売日の前日4月20日の第1回を皮切りに、随時 YouTube(ピース又吉 直樹『渦』公式チャンネル)で配信していきます。
今まさに「何者かになろう」ともがいている青春期を生きる人たち、そして青春期を通り過ぎその痛みを時々振り返りながら生きている大人たちに、ぜひとも一度ならず二度三度と読んでいただきたい、力強い傑作です。又吉直樹と佐藤千亜妃さんによる『人間』テー マソング制作動画と合わせて、長く深く楽しんでいただければと思います。
佐藤千亜妃のコメント
又吉さんが私の楽曲を聴いてくださっているのを知っていたので、今回のお話をいただいてとても光栄でした。また私も又吉さんの作品をすべて読んできました。なかでも『人間』は私が一番好きな作品で、人間同士の生々しい軋轢が描かれていて、どの視点で読もうか少し混乱する感じがとても新鮮でした。 ビターでリアルで、でも出口は閉ざされていない、そんな『人間』を楽曲に落とし込んでいくという試みを、作家とミュージシャン、それぞれの良い部分を反映させて物作りができるかな、と楽しみな気持ちで臨んでいます。
(書籍情報)
『人間』
著者:又吉直樹
定価:(本体840円+税)
文庫版 ISBN:978-4-04-897420-2
発行:KADOKAWA
https://www.kadokawa.co.jp/https://www.kadokawa.co.jp/product/322201000385/
(あらすじ)
38 歳の誕生日に届いた一通のメール が痛恨の記憶を呼び起こす。 漫画家を目指し上京した永山が住ん だのは、美術系の学生が集う共同住 宅「ハウス」。同居人たちとの生活の 中である騒動が起こりすべてが打ち砕 かれる――。 何者かになろうとあがいた歳月の果て に永山が見た景色とは? 自意識にもがき苦しみながらそれでも 生きていく「人間」とは?