函に入り、シュリンクされている『乙嫁語り<ワイド版> 1』。タイトル文字や模様は透明箔押し加工が施されている
物語の舞台は19世紀の中央アジア。定住民や遊牧民のそれぞれのお嫁さんのお話を通して、そこで暮らす人々の生活が紡がれていきます。圧倒的な画力で描かれる広大な風景や細かい細工や刺しゅう、登場人物の表情をワイド版ならではの迫力は圧巻。
また、造本に込めた作り手のこだわりを手に取り、紙の匂いや染み込んだインクの香り、重さ、触ったときの豊かな感触のそのひとつひとつを感じてもらいたいと思っています。
電子版ではお届けできない、紙の本の良さや魅力、ゆっくりとページをめくる贅沢な時間楽しんでもらえることを願って刊行いたします。
第1巻は8月20日に発売ですが、2~3巻は9月20日、4~5巻は10月20日にと、連続で刊行を予定しています。
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これまで日本では、漫画は雑誌で連載するために描かれ、コミックス(単行本)はそれを簡易にまとめたものが発売されてきました。そのためサイズは小さく、収納場所は少なくて済むのですが、原画で描かれた迫力を楽しむためには雑誌を読むか、原画展に行くしかありませんでした。
(参考・コミックスのサイズは新書判:天地173~117ミリ×左右112~116ミリ、B6判:天地182ミリ×左右128ミリ)
今回発売される<ワイド版>では出版するサイズを、連載している漫画誌『青騎士』と同寸の天地240ミリ×左右170ミリに大判化し、漫画家が紙につけペンで描き込んだ熱量まで感じ取られる大きさになりました。
さらに近年、日本以外の国では、漫画単行本の仕様が高級化しています。『乙嫁語り』も、英語版はハードカバー、フランス語版はワイド版で発売されており、2021年に発売されたベトナム語版『シャーリー』は函入りで発売されています。
それならば日本の読者のためにと、モノづくりにこだわり、最も良い状態で漫画を楽しんでもらえるよう、全体の構成、デザイン、紙選び、造本仕様、箔押しなどの加工、その他いろいろなアイデアに対し、時間をかけて何度も試行錯誤しながら制作されました。
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【乙嫁語り<ワイド版> 1 の詳細】
書名:乙嫁語り<ワイド版> 1
著:森薫
発売日:2021年8月20日
定価:3,080円(本体2,800円+税)
ISBN:9784047365827
サイズ:天地240mm×左右170mm
函:くるみ函
ハードカバー上製本:
本文には緻密な描線を高精細に再現できる白色度の高い紙を使用し、画稿を隅々まで鑑賞できるよう本のノドまで開くことのできる〈ホローバック製本〉で仕上げています。また元のコミックスのカバーイラストを大サイズで味わえる〈折込み別丁〉つき。ほかにも通常の単行本では実現の難しい選りすぐりの紙と製本加工を使用。
スタッフ:
著者:森薫
印刷・製本所:共同印刷株式会社(井上早紀・一倉祐樹・柴崎誠・岩川隆之)
営業:加納宏樹
宣伝:北根紀子・寺田優里
生産管理:赤井裟織・平井康則
造本・装幀:染谷洋平(BALCOLONY.)
校正:河邊隆・小笠原瑞紀
編集:大場渉
発行者:青柳昌行
発行:株式会社KADOKAWA
『乙嫁語り』とは
森薫による人気作品。2009年『乙嫁語り 1巻』刊行。既刊13巻、続刊中。現在は漫画誌『青騎士』で連載中。作品は、中央アジアに暮らす、遊牧民と定住民の暮らしを「お嫁さん」を軸として描いた壮大なオムニバス的なストーリー。
『エマ』で19世紀末の英国を活写した森薫の最新作はシルクロードの生活文化。馬の背に乗り弓を構え、悠久の大地に生きるキャラクターたちの物語となります。
ペン画による自然の風景、野生動物たち、民族衣装の描き込みなども、物語とは別の次元で魅力となっています。
※この通常版のサイズは従来のB6です。
『青騎士』とは
ネットでのレコメンド機能やジャンル化されたコミック誌が、近年の漫画とのおもな接点ですが、恋愛、ラブコメ、歴史、4コマなどいろんなジャンルの作品を1冊に収録し、新しい漫画との出会いを提供しようと生まれたのが『青騎士』です。8月20日には第3号(青騎士第3A号、青騎士第3B号の2冊同時)が発売になります。
誌名:青騎士(あおきし)
創刊:2021年4月20日
発行:KADOKAWA
サイズ:天地240mm×左右170mm
※誌名の「青騎士」は、20世紀初頭、ドイツのミュンヘンに集まった画家たちによる芸術集団の名称であり、またヴァシリー・カンディンスキーとフランツ・マルク、ふたりの編集者・執筆者によって1912年に出版された年刊誌の題名でもあります。伝統的な価値観を乗り越えようとする、先駆的な出版活動が「青騎士」に込めた意味です。 |