- バンタンはファーストリテイリングの協力を得て、性別や年齢といった垣根を取り払ったボーダレスファッションのコレクション「Gradation」をユニクロ銀座店で展示
- 女性はスカート、子どもは子ども服といった固定観念を壊すコーディネートを、バンタンのメンバーとファーストリテイリングの社員が議論して創り出した
- SDGsに直結する商品開発も視野に入れて、今後も個性やダイバーシティを尊重する、社会に近い実践教育を進めていく
クリエイティブ分野のスクール事業を展開する株式会社バンタンは、新しいボーダレスファッションを提案したコレクション「Gradation」の展示を、2021年7月19日から8月27日までユニクロ銀座店で行いました。全24パターンからなるコーディネートには、ユニクロの店舗で実際に販売されている商品を使用しており、性別、年齢、国籍のステレオタイプを壊した、ボーダレスかつサステナブルな新しいファッションを表現しました。
バンタンは、ファッション、ヘアメイク、グラフィックデザインを学ぶバンタンデザイン研究所をはじめ、ゲームやアニメ、製菓や調理、美容、ITやAI、インターネット動画などを学ぶ6つのスクールを展開し、「世界で一番、社会に近いスクールを創る」ことをビジョンとしています。それぞれのスクールでは、現役で活躍する講師による授業に加え、長期インターンや産学協同プロジェクト、各企業とのコラボレーションなどを組み込んだ実践的な教育を通して、即戦力となる人材を育成しています。
そういった産学協同プロジェクトや、企業とのコラボレーションの一貫として、バンタンはSDGsに関わるプロジェクトをこれまで多数実施してきました。
たとえば、2020年11月、バンタンデザイン研究所のメンバー(バンタンでは生徒を「メンバー」と呼称)が、JR東日本の山手線全30駅を舞台としたアートと音楽の祭典「HAND! in Yamanote Line ‐山手線でアートと音楽を楽しむ15日間‐」に参加し、東京校の最寄り駅である恵比寿駅西口改札内に、JR東日本から出た廃材を活用したアートを展示する「Sustainable Art Station Ebisu」を行いました。恵比寿駅から出る切符のロール芯や段ボールといった日常的な廃材に加えて、不要となった在校生の私服や、授業で出る布地の切れ端なども使われ、花壇に見立てたオブジェクトはベンチとしても使えるデザインに仕上がりました。
また、2021年7月には、製菓・カフェ・調理の専門校であるレコールバンタン大阪校で、フードロス0(ゼロ)を目指すゴーストキッチン(デリバリー専門店)「バンタン食堂」を立ち上げました。レコールバンタンの専門部、高等部のメンバーが参加し、メニュー開発から調理、包材管理など一連の工程を担っています。同校での調理授業の際に、どうしても発生してしまうフードロスを削減し、コロナ禍で外食しにくい状況でもおいしい食事を提供したい、という想いからスタートしたもので、余った食材を使用することで低価格な料理を提供し、デリバリーサービスでは珍しいワンコインランチも数種販売中です。
そして今回、バンタンが提案したのが、多様性に富むボーダレスなファッションスタイル「Gradation」です。これは、ファッションブランド「ユニクロ」や「GU」などを展開するファーストリテイリングが行っている、次世代教育プログラム「UNSTEREOTYPE School」(アンステレオタイプスクール)の一貫として実施された取り組みです。
「UNSTEREOTYPE School」は、“「服」という身近なものを切り口に、一人ひとりが無意識に抱いているさまざまなステレオタイプ(固定観念)に気づき、そこに意識的であることで、誰もが自分自身のありたい未来を描ける世界を共創することを目指す”、をコンセプトに、さまざまな教育機関とファーストリテイリングが協同して進めているプロジェクトです。
プロジェクトに参加したバンタンのメンバーは東京校40名、大阪校40名の計80名。服におけるステレオタイプについて、ファーストリテイリングの社員とともに学び、考えて、固定観念を壊す新しい提案を創り出していきました。
「メンバーは4つのチームに分かれ、各チームにファーストリテイリングの社員の方も1名加わりました。プロジェクトでは、まず最初に各チームで何が固定観念になっているかを議論し、その固定観念を壊す課題解決策を考えて、チームごとにプレゼンテーションを行いました。各チームの提案の中から採用されたのが、多様性のあるファッションスタイルを作るというアイデアでした。このアイデアを全員で深めていって、『Gradation』という展示を完成させることができました」(株式会社バンタン メディアマーケティング部 広報マネージャー 川波 力)
「Gradation」で提案したのは、性別、年齢、国籍に関わらない新しい服の選び方です。メンバーは、女性であればなぜスカートを着用しているのか、子どもであればなぜ子ども服しか着ないのか、といった固定観念を洗い出し、それを壊すファッションを考えていきました。さらにコレクションを着用するモデルさんたちとも対話する機会を設けて「本当に着たいスタイルは何か」をヒアリングしながら、アイテムを選び、ボーダレスなコーディネートを完成させました。
「おじさんだから地味な服、子どもだから子どもサイズの服、でなくてもいいのでは? と自分たちで仮説を立てた上で、実際にミドルエイジの男性や子ども、セクシャルマイノリティの方などにヒアリングして実証し、作り上げていきました」(川波)
コレクションのタイトル、「Gradation」には、ファッションを通して互いの違いを認め合い、性別、年齢、国籍を乗り越えるイメージが込められています。アイテムはすべてユニクロで販売中の商品を使った上で、女性用、男性用、大人用、子ども用、サイズなどに縛られない、自由なコーディネートを見せる展示となりました。
こういった、SDGsに向けたさまざまな取り組みを実施している背景には、冒頭で触れたように、「社会に近いスクール」を目指していることがあります。
「教科書で得られる情報が、インターネットで簡単に検索できてしまうことも多い現代は、座学よりも経験で差がつく時代です。こうした観点から実践教育に力を入れて、メンバーが社会に出たときに活かせる力がつくようにしてあげたいと考えています。そのため、各スクールでは、可能な限り現場に近いプログラムを展開しています。また、弊社ではメンバーの個性をとても大事にしています。個性を尊重する自由なカルチャーこそが、各スクールの価値の根幹をなしているともいえます。こうしたカルチャーを大事にしたプログラムを続けていくことで、SDGsに直結する商品も自然と生まれてくることになると思っています。個性やダイバーシティの解放をより強めて、社会課題の解決につながるような取り組みを、今後もさまざまな企業とコラボして進めていきたいと考えています」(川波)