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20世紀初頭のフランスで、日本の少女マンガにつながると言われる表現方法「ガーリー・アート」が誕生したことをご存知でしょうか?
「ガーリー・アート」とは、セクシーな表現を含めた“女性らしさ”を描いたアートのこと(※)。
セクシーなしぐさをした女性の絵や写真は、20世紀初頭のカラー印刷技術向上による印刷物の低廉化とあわさり、雑誌やレビュー(ミュージック・ホールで行われた踊りと歌を主体としたショー)のパンフレットなどに多数掲載され、フランスの大衆に行き渡るようになりました。
また、第二次世界大戦中のアメリカでは、政府が戦地の兵士たちを戦略的に慰めるために、セクシーな女性が掲載された雑誌などを送っていました。兵士たちは自分好みの女性を雑誌から切り抜いてテントの中にピンで貼っていたため、「ピンナップ・ガール」という言葉が生まれました。
日本では、大正期にフランスに留学した蕗谷虹児(ふきや・こうじ)が「ガーリー・アート」の影響を受け、人の感情表現に重きをおいた「抒情画」を普及させました。抒情画からは、登場人物の気持ちを表すという日本の少女マンガに通じる表現を見ることができます。
本展覧会では、フランスで誕生した「ガーリー・アート」が、時を経て日本の少女マンガへとつながる変遷を辿ります。
※本展では、セクシーな表現を含めた“女性らしさ”を描いたアートを「ガーリー・アート」と定義しています。
すべての美少女画の始まりとも言える「ガーリー・アート」。戦地の若者が守り札のように見つめた「ピンナップ」、大正期の憂いある「抒情画」、現代の「少女マンガ」などのルーツを探ります。
ラファエル・キルヒナー、シュザンヌ・ムニエ、モーリス・ミリエール、ゲアダ・ヴィーイナといった、「ガーリー・アート」を描いたフランスの作家とその作品を紹介します。
19世紀後半フランスに日本の浮世絵が輸入され、また同時期のパリ万国博覧会に日本の美術品が出品されたことで、当時のヨーロッパでは日本美術に注目が集まり、いわゆるジャポニスムが流行しました。セクシーガールとジャポニズムの関係を探ります。
まるでお隣のお姉さんを見るような日常感。戦地のアメリカの兵士たちは、愛するガールフレンドと出会うようにピンナップを眺めていました。彼らの生み出した「ピンナップ・アート」を紹介します。
アール・モラン、イノック・ボーレス、ジル・エルヴグレン、ビリー・デヴォース、ロルフ・アームストロングといった、「ガーリー・アート」を描いたアメリカの作家とその作品を紹介します。
日本の娘風俗、芸者の立ち居振る舞いがフランスの若きアーティストたちの憧れとなり、一方日本では、大正期の女性たちが「ガーリー・アート」から生まれたセンチメンタルな「抒情」に感銘を受けました。両者の関係性を紹介します。
当時の「ガーリー・アート」は、映画看板や銭湯の背景絵と同じく俗っぽい大衆のアートとみなされ、作者名の記録すらない場合が多く、画家の収入も少なかったと言います。画家たちは生活費を稼ぐために、一度使った絵の一部を変えて何度も使ったり、他人の絵をそっくり流用しました。その独特の「複製文化」を紹介します。
角川武蔵野ミュージアム4階 荒俣ワンダー秘宝館
2024年2月3日(土)~7月7日(日)
角川武蔵野ミュージアム(公益財団法人 角川文化振興財団)
オンライン購入(https://tix.kadcul.com/)、当日窓口購入共通
・一般(大学生以上):1,400円
・中高生:1,200円
・小学生:1,000円
・未就学児:無料
※本展覧会の他、当館のスタンダードエリア(常設展エリア)をご覧いただけます。
日~木10:00~18:00/金・土 10:00~21:00 ※最終入館は閉館の30分前
休館日:第1・3・5火曜日
※休館日、開館時間は変更となる場合があります。最新情報は公式サイトでご確認ください。
※「1DAY パスポート」「イブニングパスポート」でも入館いただけます。
※展示替えなどにより、日程によっては一部施設に入場できない場合がございます。
※展示内容が変更、または中止になる場合がございます。予めご了承ください。