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株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛)の電子書籍レーベル・LScomic編集部は、サブレーベル「幸せの裏側」シリーズより電子書籍『娘をグルーミングする先生』(漫画:のむ吉、監修:斉藤章佳)を2025年4月26日(土)より配信開始します。
佐倉真美は、高校1年生の小春を女手一つで育てている。ある日、小春の成績が落ちていることに愕然とした真美は、塾を探すことに。見つけた塾長の森先生はとても真面目そうな人で、熱心に小春に勉強を教えてくれているそうだ。おかげで小春の成績も上がっていき、安心していた。ところがある日、小春が「ママに会わせたい人がいる」と言い、交際相手として連れてきたのは森先生だった……。
チャイルドグルーミングとは
性交や卑猥行為などの性的虐待を目的に、子どもと信頼関係を築き、手なずける行為。時にはその家族とも感情的なつながりを築き、子どもへの性的虐待の抵抗、妨害を低下させる。性的グルーミング、性的手なずけとも呼ばれる。
性的グルーミングとは、「搾取される側に、その相手とまるで特別な関係があるかのように思い込ませる環境を、搾取する側が作り出すこと」を言う。森先生は、教師という圧倒的な力関係を背景に、被害者である小春を「パワー」と「コントロール」で手なずけ支配していった。
そこには、同意なし、対等性なし、被害者の自発性なしという性暴力における「3つのなし」がそろっている。また、森先生は時に透明人間になる。普段の生活に、景色に溶け込んでいる。決して、見た目は怪しい人ではないし、性欲がコントロールできないモンスターでもない。そんな加害者は、被害者からの告発があってはじめてその輪郭が明らかになる。彼らは、透明人間のままでいたい(性加害を続けたい)から、対象の子どもを巧妙にグルーミングする。
これらの加害行為を達成するための戦略として、彼らが最も大切にしているのが「やさしさ」だ。とにかく、彼らは異常にやさしい。カウンセラー顔負けの受容力・共感力・傾聴力で、子どもと信頼関係を地道に根気よく築いていく。それは時にはSNSを使って、朝起きて「おはよう」から始まり、夜眠る「おやすみ」まで丁寧に寄り添う。絶対に子どものことは否定しない。そして、性的意図はできるだけ隠しながら接近する。やがて彼らは子どもたちにとっての唯一の“ひだまりのような存在”になっていく。
この漫画には、私が加害者臨床の現場で数多く出会ってきた子ども性加害者が巧みに描かれている。あなたの近くにも森先生は潜んでいるかもしれない。そんな加害者の存在にいち早く気づくために、これは親子で一緒に読んでおきたい希少性の高い作品である。
斉藤章佳(さいとう あきよし)
西川口榎本クリニック副院長/精神保健福祉士・社会福祉士。
さまざまな依存症の臨床に携わる。著書に『性的同意は世界を救う: 子どもの育ちに関わる人が考えたい6つのこと』(時事通信社)、『子どもへの性加害‒性的グルーミングとは何か』(幻冬舎新書)など多数ある。
書名:娘をグルーミングする先生
漫画:のむ吉
監修:斉藤章佳(西川口榎本クリニック副院長〈精神保健福祉士・社会福祉士〉)
発売日:2025年4月26日(土)
発行:株式会社KADOKAWA
のむ吉(のむきち)
漫画家。心理学を学んだ経験を生かした、心に深く刺さるコミックエッセイが得意。
Instagram:@nomkich1
「幸せの裏側」は、幸せそうに見える人たちの裏にも、悩みや葛藤がある。普段人には見せない部分を描く、ストーリー型コミックエッセイシリーズ。あなたと一緒に色々なことを考えていきたいLScomicサブレーベルです。
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