ニュースリリース
株式会社KADOKAWA(本社:東京都千代田区、取締役 代表執行役社長 CEO:夏野剛、以下、KADOKAWA)は、株式会社講談社、株式会社集英社及び株式会社小学館と共同で、米国クラウドフレア インク(Cloudflare, Inc.、本社:米国・カリフォルニア州サンフランシスコ。以下、クラウドフレア社)を提起しておりました著作権侵害訴訟に関しまして、2025年11月19日に東京地方裁判所において、クラウドフレア社の損害賠償責任を認める判決が言い渡されましたので、ご報告申し上げます。
本件に関する詳細につきましては、次ページ以降に添付の4社共同リリースをご参照ください。
KADOKAWAは、今回の判決が海賊版サイトによるCDN(コンテンツデリバリーネットワーク)サービスの悪用防止につながり、クリエイターに適切な対価が還元できるコンテンツの創作サイクルが維持されることを期待いたします。今後も、出版、アニメ・実写映像、ゲームなどを手がける総合エンターテインメント企業として、著作権侵害行為について断固たる対応を取り、作品の権利保護と創作活動のさらなる発展に貢献してまいります。
クラウドフレア社に対する訴訟提起について(2022年2月1日掲載)
出版、アニメ・実写映像、ゲーム、Webサービス、教育・EdTechなどの事業を展開する総合エンターテインメント企業です。世界中から才能を発掘して多彩なIP(Intellectual Property)を創出し、さまざまなメディアで展開。創出したIPをテクノロジーの活用により世界に届ける「グローバル・メディアミックス with Technology」戦略を掲げ、IP価値の最大化を推進しています。
https://group.kadokawa.co.jp/
以上
《本件に関する報道関係からのお問い合わせ先》
株式会社KADOKAWA 広報部
E-mail:pr-dept@kadokawa.jp
株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社及び株式会社小学館(以下、4社をあわせて「当社ら」といいます。)が原告となり、米国クラウドフレア インク(Cloudflare, Inc.、本社:米国・カリフォルニア州サンフランシスコ。以下「クラウドフレア社」といいます。)を被告として提起しておりました著作権1 侵害訴訟(以下「本件訴訟」といいます。)に関しまして、2025年11月19日に、東京地方裁判所において、クラウドフレア社の損害賠償責任を認める判決が言い渡されましたので、ご報告申し上げます。
当社らは、4000を超えるマンガ作品を無許諾で掲載し、最盛期において2サイト合計で月間3億以上のアクセス2 を集めていた2つの巨大マンガ海賊版サイト3 にCDN(Contents Delivery Network 4 )サービスを提供していたクラウドフレア社に対して、同社のCDNサービスがマンガ海賊版サイトの運営に悪用されていることを通知し、同社の管理するサーバーから海賊版コンテンツの配信を停止するなどの対応を求めました。
しかしながら、クラウドフレア社は、当社らからの通知を受領した後も、マンガ海賊版サイトへのサービスの提供を続けました。
なお、同社は当社らからの侵害通知だけでなく、著作権侵害に基づく米国裁判所からの情報開示命令を受領した後も、マンガ海賊版サイトへのサービスの提供を続けました。
クラウドフレア社は他の件でも、侵害通知の受領後においても海賊版コンテンツの配信を続けたため、当社らは、2022年2月1日に、やむなく本件訴訟を提起するに至りました。
その後本件は、東京地方裁判所の知的財産専門部において審理が進められ、今回の判決では、クラウドフレア社が当社らからの侵害通知を受けながらも、適時・適切な対応を行わず、漫然とサービスの提供を継続したことは、著作権侵害の幇助に当たるとして、クラウドフレア社が当社らに対して損害賠償責任を負う旨が認められました。その際に判決は、クラウドフレア社が何らの本人確認手続を行わず、「強度な匿名性が確保された状況下」で、巨大マンガ海賊版サイトの運営を行うことができるようにしていた点を、同社の責任を認める理由として重視しています。
本判決は、1社1作品ずつを対象としたものであり、判決で認定された損害額は、4社(4作品)で総額約36億円となります(当社らは、当社らが被った損害のうち、一部のみを請求していたため、判決主文では合計約5億円の支払いが命じられています。)。
当社らは、CDNサービスそれ自体は、適法なコンテンツをユーザーに安定的かつ効率的に配信するためのサービスであり、インターネットを介した情報やコンテンツの配信にとって有益なサービスであると考えております。その一方で、CDNサービスはその性質上、ひとたび海賊版サイトに悪用されてしまうと、違法な海賊版コンテンツが効率的かつ大規模に配信されてしまいます。すなわち、CDNを介することで、海外の防弾ホスティングなどと呼ばれるサイト運営者の身元を隠すことに特化したサーバーを利用しつつ、配信コストを抑えながら、月間数千万、数億アクセスに及ぶ巨大海賊版サイトを運営することが可能となります。
そのため、CDNサービスを提供する多くの他の事業者は、顧客の本人確認や、権利者からの通知を受けた場合に自らの管理するサーバーから違法コンテンツを削除するなど、自社の提供するサービスが違法なコンテンツの配信に悪用されないようにするための様々な対策を講じていることが、政府の検討会報告書5 などでも指摘されております。これに対し、クラウドフレア社は、そのような事前又は事後の対策を十分に行っていないことが同検討会において指摘されており、十分な本人確認なしに無料でサービスを受けられるという特徴から現在でも多くの海賊版サイトで同社のサービスが利用されております。
今回の判決は、何らの本人確認も行わず、かつ、権利者からの侵害通知を受けたにもかかわらず、適時・適切な対応を怠ったことなどを理由に著作権侵害の責任を負うことを明らかにしたものであり、海賊版サイトの運営者が身元を隠して海外からCDNサービスを利用して大規模配信を繰り返すことが多い現状において、重要な判断であると考えております。
当社らといたしましては、今回の判決が、CDNサービスの悪用防止に向けた一歩となることを期待しております。また、当社らは、今後も作品と創作者・関係者の権利を守るとともに、正規コンテンツのさらなる拡充を目指し、一層の努力をして参る所存です。
株式会社KADOKAWA、株式会社講談社、株式会社集英社、株式会社小学館
(顧問弁護団 平井佑希弁護士=桜坂法律事務所、福井健策、出井甫各弁護士=骨董通り法律事務所、前田哲男弁護士=染井・前田・中川法律事務所、伊藤真、丸田憲和各弁護士=ライツ法律特許事務所、中島博之弁護士=東京フレックス法律事務所、二関辰郎弁護士=新平河町法律事務所)
1 正確には当社らが設定を受けた出版権。平易に表すため、「著作権」の語を使用します。
2 一般社団法人ABJ調べ
3 この2つの巨大マンガ海賊版サイトは、いずれも、海外から身元を隠して、かつ、責任追及の難しい海外のホスティングサーバーを利用して、運営されていましたが、その後、当社らによる運営者の身元解明の努力が実り、本件訴訟提起後に両サイトとも閉鎖されております。
4 世界各地にサーバー(CDNサーバー)を設置し、当該サーバーにコンテンツファイルを記録・保存することによって、ユーザーの直近のサーバーからコンテンツファイルを配信し、安定的かつ効率的にコンテンツ配信を行う仕組み。
5 インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止方策に関する検討会「現状とりまとめ」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000836399.pdf